不貞相手に財産がない場合慰謝料請求できるのか?弁護士が徹底解説
1.はじめに:「お金がない」と言われても諦めないで
配偶者の不倫(不貞行為)が発覚し、深い精神的苦痛を受けて不倫相手に慰謝料を請求したものの、相手から「貯金も財産もないから払えない」「今は無職でお金がない」と言い逃れをされてしまうケースは非常に多くあります。
「ない袖は振れないのだろうか」「裁判を起こしても費用倒れになるだけなのではないか」と不安になり、泣き寝入りを考えてしまう被害者の方も少なくないでしょう。
しかし、結論から申し上げますと、不倫慰謝料の支払い義務は、相手の現在の経済状況によって消滅するものではありません。
相手が「お金がない」と主張していても、正しい調査と法的な手続きを踏めば、給与の差し押さえや将来的な回収など、慰謝料を取り立てる道は十分に開かれています。
本記事では、不倫相手が「お金がない」「無職だ」と主張してきた場合の、嘘を見破る財産調査の方法から、現実的な回収手段、そして強制執行(差し押さえ)に至るまでの対処法を、弁護士が徹底的に解説します。
2.なぜ「お金がない」という主張を鵜呑みにしてはいけないのか
不倫相手が「お金がない」と主張する背景には、以下のような思惑や事実の隠蔽が隠れていることがほとんどです。
・慰謝料を支払いたくないため、意図的に嘘をついている。
・手元に現金はないが、車や不動産、生命保険などの資産は持っている。
・「払えない」と突っぱねれば、被害者が諦めてくれるとタカをくくっている。
相手が本当に無資力(無一文)であるケースは稀であり、何らかの仕事に就いて生活している以上、毎月の収入は必ずあります。
そのため、相手の「お金がない」という言葉を信じてすぐに請求を諦めるのではなく、客観的な証拠に基づいて相手の本当の支払い能力(資力)を見極めることが第一歩となります。
3.ステップ1:相手の隠し財産・支払い能力を調査する
相手の資力を確認するためには、以下の3つのポイントについて調査を行います。
① 収入(勤務先)の調査
相手が会社員や公務員、あるいはアルバイトであっても、定期的な給与収入があるかどうかは最も重要な情報です。
毎月の給与があれば、後述する「分割払い」の交渉や、最終的な「給与の差し押さえ」が可能になります。
交渉段階では、相手に対して「源泉徴収票」や「給与明細」「確定申告書」の提示を求めます。
② 預貯金の調査
「お金がない」と言いながら、別の口座に貯金を隠している可能性があります。
相手に全ての預貯金通帳の開示を求め、慰謝料請求の直前に高額な引き出しや財産隠しが行われていないかを確認します。
③ 不動産などの資産調査
現金がなくても、持ち家や投資用マンションなどの不動産を所有している場合があります。
相手の自宅住所などが分かっていれば、法務局で「登記事項証明書(登記簿謄本)」を取得し、誰の名義か、住宅ローン(抵当権)がどれくらい残っているかを確認することができます。
4.ステップ2:本当に「お金がない」場合の3つの現実的対処法
調査の結果、相手に高額な慰謝料(例えば200万円)を一括で支払うだけの貯金が本当にないことが判明した場合でも、以下の方法で回収を目指すことができます。
① 分割払いで合意し、「公正証書」を作成する
一括払いが無理でも、相手に毎月の給与収入があれば、「月々3万円ずつ支払う」といった分割払いで合意する方法が最も現実的です。
ただし、分割払いは途中で支払いが滞る(逃げられる)リスクが非常に高いため、必ず公証役場で「強制執行認諾文言付きの公正証書」を作成してください。
これを作成しておけば、相手の支払いが一度でも遅れた場合、裁判を起こすことなく直ちに相手の給与や口座を差し押さえることができます。
② 請求額をある程度「減額」して一括で回収する
分割払いによる長期的な未払いリスクや精神的ストレスを避けるため、請求額を減額してでも「一括」で支払わせるという戦術もあります。
例えば、相場が200万円のケースでも、「100万円を一括で払えるならこれで示談にする」と譲歩することで、確実にお金を回収し、相手との縁を早く切ることができます。
③ 親族に立て替えてもらうよう促す
法律上、成人した不倫相手の慰謝料を、その親や兄弟が代わりに支払う義務は一切ありません。
しかし、実務上は、不倫相手本人が親に泣きつき、親族からの援助(立て替え)を受けて一括で支払われるケースも珍しくありません。
ただし、被害者側から相手の親に対して直接請求したり不倫の事実を暴露したりすると、名誉毀損や恐喝などのトラブルになる危険があるため、あくまで「相手本人が親族に相談して資金を用意する」ように促すにとどめる必要があります。
5.ステップ3:相手がお金を隠している・支払いを拒絶する場合
相手が財産を隠していたり、交渉自体を無視したりする場合は、強力な法的手続きに移行します。
① 民事訴訟(裁判)を起こす
交渉が決裂した場合、裁判所に慰謝料請求訴訟を提起します。
裁判で不倫の証拠を提出し、あなたの請求が正当であると認められれば、裁判所が相手に支払いを命じる「判決」を下します(途中で和解となることも多いです)。
② 強制執行(給与や口座の差し押さえ)
判決や和解調書、あるいは前述の公正証書があるにもかかわらず相手が支払わない場合は、裁判所に「強制執行」を申し立てます。
特に有効なのが「給与の差し押さえ」です。相手の勤務先が分かっていれば、給与の4分の1(手取りが33万円を超える場合は33万円を超える部分すべて)を毎月強制的に天引きして回収し続けることができます。
給与の差し押さえは、相手の職場に不倫問題での借金があることがバレるため、相手にとって強烈な心理的プレッシャーとなり、「差し押さえを取り下げてほしいから一括で払う」と態度を急変させることもよくあります。
6.新制度!財産を隠す相手を丸裸にする「財産開示・情報取得手続」
「相手が仕事をしていない(無職だ)と言うし、どこの銀行に口座があるかも分からない」という場合でも、諦める必要はありません。
2020年に改正された民事執行法により、判決など(債務名義)を持っていれば、以下の強力な調査ができるようになりました。
・財産開示手続:相手を裁判所に呼び出し、自分の財産を宣誓させて全て言わせる制度です。嘘をついたり無視したりすれば、刑事罰(懲役または罰金)が科されます。
・第三者からの情報取得手続:裁判所を通じて、銀行やゆうちょ銀行に「この人の口座の残高を教えなさい」と照会したり、市町村や日本年金機構に「この人の勤務先(給与の支払い元)を教えなさい」と調査したりすることができる画期的な制度です。
これにより、「無職だ」「お金がない」という嘘を暴き、強制執行につなげることが格段に容易になりました。
7.弁護士に依頼する絶大なメリット
「相手がお金がないと言っている」という厄介な状況で、被害者個人が一人で調査や交渉、裁判、差し押さえまでを行うのは、精神的にも技術的にもほぼ不可能です。
弁護士に依頼することで、以下のメリットが得られます。
・直接交渉のストレスから完全解放:言い訳ばかりする不倫相手と顔を合わせる必要がなくなり、弁護士が毅然とした態度で交渉を代行します。
・財産調査の精度が格段に上がる:弁護士会照会などを駆使して相手の資産や勤務先を特定し、嘘を見破ります。
・公正証書の作成から差し押さえまで一貫サポート:分割払いのリスクを最小限に抑える書面作成や、支払いが滞った際の裁判・強制執行の手続きをすべて任せることができます。
・「配偶者への請求」という別ルートの検討:不倫は配偶者と不倫相手の「共同不法行為」です。不倫相手が完全に無資力であれば、資力のある自身の配偶者に対して慰謝料を請求するという戦略的アドバイスも受けられます。
8.まとめ:相手の「払えない」という言葉で泣き寝入りしないために
不倫相手が「お金がない」「無職だ」と主張しても、慰謝料の支払い義務が消滅するわけではありません。
相手の嘘を見破り、分割払いの合意や親族の援助、給与の差し押さえ、さらには最新の財産開示手続きなどを駆使すれば、泣き寝入りせずに正当な慰謝料を回収する道は必ず開かれています。
相手の言葉を鵜呑みにしてしまう前に、まずは男女問題や慰謝料回収に強い弁護士に無料相談などを利用して状況を相談し、回収の見込みや最適な戦術を確認してください。
是非島・鈴木法律事務所初回無料相談をご利用ください。
不倫慰謝料問題に関する実績豊富な弁護士が、事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。
島・鈴木法律事務所
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>
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