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離婚をするための基礎知識

横須賀で離婚をお考えの方へ

横須賀で弁護士として離婚事件に取り組ませて頂き、最初に抱いた感想が「非常に多くの方が離婚・不貞慰謝料問題に悩まれている」ということです。平成27年8月に生まれ育った地元横須賀に島法律事務所を開所させて頂きました。

それ以来、非常に多くの方から離婚・不貞慰謝料問題についてのご相談を頂き、その中の多数の方から代理人に選任して頂いております。

横須賀に事務所を開所するまでは、概ね常時5から10件程度の離婚・不貞慰謝料事件を抱えておりましたが、横須賀でのその数は数十件にまで増えております。

毎日のようにご相談を頂き、多いときでは朝から夕方まで離婚・不貞慰謝料問題の打ち合わせ・相談でスケジュールが埋まることもあります。

日々多くの方からご相談頂き、多くの方の事件に取り組ませて頂くことで、解決に向けたノウハウが集積され、
「この方が悩んでいるのはこの○○だろう」
「事件となったときは○○がネックになるだろう」
などと以前よりも遙かに見通しが立つようになってきました。

2つ目の感想としては横須賀地区(横須賀、三浦、逗子、葉山)ならではのご職業の方が多いということです。
漁業・農業関係の方など横須賀に事務所を開所する以前はご相談頂く機会はほとんどありませんでした。
そして特に多いのが自衛官の方のご相談です。確かに、小学校中学校時代には必ず自衛隊関係者のお子様がクラスに何人かいらっしゃいましたが、正直ここまで多くのご相談を頂くとは思っておりませんでした。

多くの出張(海上自衛隊の方は任務として何ヶ月も洋上にて過ごされております。)や特殊な勤務・給与体系(特に退職金)など、通常とは異なる相談対応・事件処理が求められます。
離婚・不貞慰謝料問題にお悩みの方は、精神的に厳しい日々を送っていることと思います。
是非一度お気軽にご相談下さい。

離婚をお考えの方へ

当事務所のホームページをご覧頂きありがとうございます。

このホームページをご覧頂くと言うことは、ご自身もしくは身近な方が離婚についてお悩みなのだと思います。

そんな方々のために離婚に役立つ情報をまとめて述べていきたいと思います。

きっと離婚についてイメージがしやすくなると思います。

01 離婚の種類
1
協議離婚

夫婦間において話合いで離婚をすることをいいます。

日本では、離婚全体の9割を占める最も多い形態となります。

夫婦双方が納得できれば、どのような条件でもかまいません。ただ、未成年のお子様がいらっしゃる場合は親権者を定める必要があります。これは法律により定められているため、後で決めるなどとは出来ません。

この協議離婚のメリットは、裁判所を介さないため、いつでも自由に協議し離婚条件を話し合えることといわゆる現在の家庭裁判所の考えに則ることなく柔軟な条件を設定できることが挙げられます。

ただ、その反面、裁判所における期日のようなもながないため、ズルズルと時間だけが経過することや裁判所に行きさえすれば、そのような不利な条件にならなかったのに、なんだかよく分からないうちに長年自分が苦しむことになるような条件となってしまうこともあります。

特に、配偶者のモラハラに苦しんでいる場合、夫婦間のパワーバランスをそのままに交渉が行われるため、モラハラを受ける側は劣位の交渉を強いられます。

2
調停離婚

次に調停離婚ですが、この手続きは夫婦のどちらかが家庭裁判所に対して夫婦関係調整(離婚)調停を申し立てることで始まります。

具体的な手続きとしては、裁判官一人と男女各一人の調停員の合計3名が調停委員会を形成し、公平な第三者として夫婦間の調整役となり離婚に向けた話合いを進めていきます。1回2時間の調停が行われ、30分程度ずつ双方が入れ替わり、合計2回ずつ調停員と話していきます。

巷では3回やってもまとまらないと調停不成立になるなどという嘘が言われていたりしますが、実際は1回目でも話し合いの余地がなければ不成立になったり、解決の可能性があれば長期間でも継続されます。私の関わった事件でも、実際2年を超えて調停が行われて無事調停離婚する場合もありました。

調停のメリットは、公平な第三者である調停員が介在することで、相手方の主張が正当なものかどうか判断できたり、当人同士が冷静に話し合えたりすることがあります。

調停で不成立となれば、訴訟に移行するため、訴訟では実現できない柔軟な解決を実現する最後の機会ともいえます。 デメリットとしては、最近減っては来ましたが「俺の意見を聞け」と言わんばかりの調停員が自己の考えに固執して半ば強制的に自分の意見を聞けと迫ってくることもあります。

私の担当した事件でも、双方当事者及び代理人間で調停と調停の間に合意して調停条項案まで裁判所に送っているのに、「その条件はおかしい」と意味不明な見解を述べる調停員もいました。もちろん、その意見はすぐに排斥しましたが。

他にも、調停は1から2ヶ月に1度しか期日がないため、なかなか進展しないと言うことがあります。

最近多くなってきた困っていることとして、相手方に弁護士が就いているにもかかわらず、裁判所の運用とかけ離れて、法律的に実現不可能な主張を繰り返すことがあります。特に聞き分けのない相手方であればあるほど、意味不明な主張をする弁護士を選びがちです。

一昔前であれば、ある程度の「相場観」を双方代理人が持ち、落としどころを見極めた上で解決に向けて話を進めていったのですが、最近は書面の提出期限は守らない、主張は裁判所の見解を無視というケースが増えています。

残念ながら、本人はともかく代理人すら非常識な場合、調停での話合いは徒労に終わることが明白なので、訴訟移行することを進めています。

少し前までは当人同士が良ければそれで良いというスタンスの調停員が多かったですが、最近は調停員の段階で養育費や婚姻費用の算定表など家庭裁判所の運用に則った解決になることが多くなっています。

3
裁判離婚

文字通り裁判で決着つけることです。要するに裁判官が判決を言い渡し、離婚できるかどうか、出来る場合にどのような条件で離婚するのかを決めます。

とはいっても、実際に判決まで行くケースはそれほど多くなく、双方の主張がある程度出た段階で、裁判官が判決を書くとしたら大凡こうなりそうという「心証」を開示して、その条件に近いところでの和解を進めてきます。

裁判官の殆どは、心証開示したことと大きな差はない判決を言い渡すのですが、中には「いくらなんでもおかしいだろう」という和解案を提示され、断って判決を見てみると和解案とはまるで異なる内容と言うこともあります。

やはり、事案に即して、想定される結論を見通す力が必要となります。その辺りは、そういった見通す力に長けた弁護士を選ぶかどうかで結果が異なってきます。

裁判のメリットは、法律的な判断をもらえるので淡々と自己が正しいと考える主張を繰り返していけば良いということが挙げられます。

また、調停と異なり本人は期日に出席しないため、裁判官は弁護士がおかしな主張をすると自ら撤回するように促してくれます。

要は、上で述べたような、法的根拠を有しないでたらめな主張をそう簡単には認めてくれなくなるのです。

このようなケースは最近増えており、こちらがしっかりと主張を繰り返していけば行くほど裁判官もこちらの主張を理解してくれる一方、訳の分からない主張を代理人がすればするほど裁判官は主張を排斥することが多くなります。

日頃からしっかりとした主張をしている弁護士については、安心してその主張を聞いてくれ、自ずと主張が受け入れやすくなります。

やはり、裁判離婚をする上で、しっかりとして法的知識と裁判所から信頼を得ている弁護士に依頼することは裁判離婚成功の必須条件といえます。

02 離婚問題で弁護士をつける人が増えている

離婚事件が裁判所で審理される件数は年々減っています。
人口減少が起きている現在においてそれは当然ともいえます。
ただ、その一方で裁判所に係属している離婚調停及び離婚裁判での弁護士が代理人として就く件数は年々増加の一途を辿っています。

理由は複数あるのでしょうが、私が感じる主な理由は2つあります。

まず1つめは、Googleなどをはじめとするインターネット検索システムの発達により、離婚を検討される皆さんがインターネットで情報を入手するようになり、弁護士を依頼したときのメリットと依頼しないときのデメリットを知識として仕入れていることが挙げられます。

法律事務所のホームページに、そういった情報が多くあり、同じホームページに弁護士費用も通常示されているため、法律事務所へ来る前に弁護士費用と弁護士を就けた際に得られるメリットを比較して結論を出されている方が年々多くなっています。

もう1つは、裁判所の対応です。以前は、片方に弁護士がついており、他方が本人の場合、裁判では裁判官が自分で訴訟をする方のアシストをしてくれていました。

ただ、ここ5年くらいは「弁護士を就けないと自己に不利な結論となりますが大丈夫ですか」と注意喚起をして、それでも弁護士を就けない場合、容赦なく書面主義という原則の下提出されている書面や証拠でどんどん判断をしていきます。

ご自身で訴訟を行う方の殆どが、なんとなく離婚に関係あることを一生懸命主張するのですが、法律で定められた要件に対応する事実を証拠とともに適切に主張していかないと自己の主張が認められることはありません。

ここ最近では更にそのような傾向が強まり、調停段階でも本人が訳の分からない主張をすると「弁護士を就けた方がよいですよ」と言われるようになってきています。

03 弁護士をつけるメリット
1
弁護士に相談をした方が良いケース
  • まず、兎にも角にも弁護士に相談すべきケースとしては下記のようなものがあります。

    ・離婚に向けて別居を考えているが、具体的にどうしたらいいか分からない

    初動対応を間違えると紛争を激化させ、後手に回るおそれがあります。 今すべきこと、してはいけないことを理解した上で行動に移すことをおすすめします。

  • ・相手に弁護士がついた

    武器対等の原則という言葉がありますが、相手に弁護士がついているにも関わらず、自己に弁護士をつけないことは、多くの場合専門家対素人という構図になり、対等に戦うのは難しいといえます。

  • ・相手が話し合いに応じてくれない

    モラハラ配偶者などは、見下してきますので自己の思い通りの条件にする、離婚したくなければ離婚には応じないなどという状況が続いてしまいます。

  • ・離婚には合意しているものの、条件交渉がまとまらない

    ただ、「こうしたい」「あれがほしい」と言ってもなかなか実現しません。
    法律的な根拠とともに証拠を付けて相手を説得する必要があります。

  • ・相手と話すのが怖い、モラハラ・DVを受けている。

    自分の置かれている状況を正しく把握することが大切であり、更に取り得る手段を知っておく必要があります。

2
弁護士に依頼すべきケース

上で挙げたケースの殆どが当てはまるのですが、中でも特に弁護士が代理人としてつけないとならないのは

・相手の主張が無茶苦茶であるにもかかわらず譲歩しない

・モラハラ・DVなど当事者間では萎縮してしまう

・相手に代理人がついた

以上のようなケースは弁護士をつけることを前提に相談へ行かれることをおすすめします。

04 離婚を有利に進めるための方法
1
離婚する場合に決めなければならないこと

離婚を決意した場合,まず何から手をつけて良いか分からないとう方もおられるかと思います。ここで説明していきます。

まず、唯一法律で決められているのは、お子さんがおられる場合には,まずは親権を定めなければ,離婚の届け出をすること自体が出来ないということが挙げられます。

その他でも、
財産分与
慰謝料
年金分割
親権
養育費
婚姻費用
などなど、決めなくてはならないことは多岐に亘ります。

でも、まとめてみると「3つ」ことに集約できます。
それは
① 離婚するかどうか
② 子どものこと
③ お金のこと
の3つです。

1 離婚するかどうか
文字通り夫婦双方の離婚意思が合致するかどうかということになります。
ここが合致しなければ調停訴訟と段階を踏み、最悪の場合判決まで得ないとなりません。
2 子供のこと
一番対立を招く親権、これは分けることは出来ないので、ここで合意できなければ訴訟は必至となります。
他には養育費と面会交流がありますが、養育費には通常算定表という絶対的な基準があり、面会交流についても「月1回」という殆どの事案で採用される条項がありますので通常それほど問題とはなりません。
3 お金のこと
慰謝料、財産分与、年金分割が離婚に際して決めることで、離婚が決まるまでの期間の生活費となる婚姻費用も問題となります。
慰謝料は相応の理由とそれを裏付ける証拠が必要となります。
財産分与は、2分の1ずつ分けるという絶対的な基準があり、年金分割も0.5というのは動きません。

以上が離婚の際に決めるべきこととなります。 まとめてみるとやるべきことがより明確になるのではないでしょうか。
2
離婚を有利に進めるための方法
1 財産分与をできるだけ多く獲得するためには
婚姻後に築いた財産が相当額に上る場合には,財産分与は大きな問題となります。

まず,財産の把握が最も重要となります。
はっきりいってしまえば、ここがすべての成否を握るといえます。
よくいらっしゃるのが、家計は妻にすべて任せてきたので、何がどこにあるかわからない、自分の通帳を見ると現金で引き出しが多数あるがそのお金がどこへいったか見当もつかない、と言う場合だと非常に厳しくなります。

自宅不動産等のわかりやすい財産の場合は良いですが,預貯金や証券,生命保険等の財産について,相手がどのようなものを持っているのかを把握していないと,財産分与の対象とすることが出来ず,結果的に少ない金額しか獲得できないかも知れないからです。

このため,同居中に,相手名義の財産については,できる限り詳細に把握するように努めましょう。どこの口座に財産があるか見当はつくものの具体的には分からないといった場合には,弁護士に依頼して,23条照会といって,弁護士会を通じた紹介制度を利用して詳細を把握することも必要になってきます。

財産を把握した後は,その財産がそもそも共有財産といえるのか,また,その財産のうちどの部分を共有財産とみるのか,また,評価方法等について,相手方と交渉することになります。

財産分与の受取額は,共有財産の範囲,評価方法や対象期間によって大きく異なってきますので,これらの事項について,相手としっかりと交渉しましょう。

その際,相手との交渉に自信がない場合や,財産の額が大きい,種類が多様等の理由から交渉がシビアで複雑である場合には,少しでも多くの金額を獲得するため,離婚問題に注力する弁護士に依頼するのが良いでしょう。
例えば、不動産などにおいて、離婚に注力する弁護士であれば、自己に有利となるようなノウハウをもっていることがあります。
2 慰謝料をできるだけ多く獲得するためには
相手に慰謝料支払うべき事情がある場合には,慰謝料を請求することが出来ます。
よくご相談は受けるのは、「苦労してきたから慰謝料」というものがありますが、残念ながら認められません。その殆どは不貞行為で、たまにDV・モラハラがあるという感じになります。

しかし,裁判等で相手に慰謝料を請求するためには,相手が慰謝料を支払うだけの違法な行為をしたということを,証拠によって証明する必要があります。
決定的な証拠は、不貞行為であればラブホテルに入る様子を納めた探偵の報告書、DVであれば診断書や怪我の状況を残した写真、モラハラであれば音声データやLINEなどがあります。

このため,慰謝料を請求するためには,まずは,相手の行為を証拠に残しましょう。例えば,不貞行為であれば,配偶者と不貞相手とのLINEのやりとりや,場合によっては探偵に依頼するなどして不貞の証拠をおさえましょう。暴力やモラハラ等の場合には,録音なども有効な手段といえるでしょう。

このような証拠を押さえた上で,できるだけ多くの金額を獲得できるよう,相手と交渉をすることになります。その際,類似の事案であれば,どの程度の慰謝料を支払うことになるといった裁判例等も参考にしつつ,今回の場合はどれだけ違法性が高いかなどに着目しながら行うことで,説得的な交渉を行うことが出来るでしょう。このため,離婚問題に注力する弁護士に依頼するのが最も効果的な方法といえるでしょう。
離婚をあまり扱っていない弁護士に限って、安易に高額な慰謝料請求が可能として、請求金額を高く設定し、着手金も高く設定することがあるので注意が必要です。

また,裁判になった場合にも,押さえた証拠を元に,相手の行為がどれほど違法なものであったかを,法的根拠に基づいて主張立証して行く必要があります。裁判である以上,専門家である弁護士に頼るのが現実的でしょう。

なお,相手が事実を認めている状態であれば,証拠は必須とまではいえませんが,裁判になった段階で,相手が自分の主張を突然翻してくることがないとはいえないため,やはり証拠を押さえる努力をすることは必要でしょう。
3 親権を獲得するためには
冒頭でも述べましたが,夫婦の間に未成年の子どもがいる場合は,親権を定めなければ離婚をすることが出来ません。

また,離婚しても子どもと一緒に生活したいと考える方は多く,親権争いは,離婚の際に最も苛烈となりやすい争点の一つです。

裁判所で親権が決定される際に重視される要素は、主なものとして

① 子どもの年齢(10歳ころまでは,母親の役割が重視される傾向),
② 子どもの意思(15歳以上の子どもであれば,この意見が尊重されやすい),
③監護の実績(それまで子を養育監護してきたものを優先),
④兄弟姉妹の関係の尊重(血のつながった兄弟姉妹はなるべく分離しない方が良い),
⑤監護能力と意思(子の身の回りの世話をする能力や意欲,経済力),
⑥親族などの援助・協力(補助的事情)
により判断されることになります。

親権を獲得するため,これらの条件をなるべくそろえるようにしましょう。具体的には,①,②,④の事情はご自身の意思で整えることは難しいかも知れませんが,③,⑤,⑥については,ご自身である程度準備をすることが可能です。

すなわち,離婚が視野に入っていて,親権を獲得したいと考えている場合には,③子の養育監護を相手に任せきりにするのではなく,主体的にこれに関わるようにすることが必要です。また,⑤子の身の回りの世話を自分で行うことによって,監護の能力があると判断されることになりますし,⑥ご自身のみでの監護養育が難しい場合には,親族などの助けを求められるようにしておく等,環境を整えておきましょう。

調停で親権が争われる場合には,子どもの心理等について専門知識を持った調査官という専門家が,調停を担当することになります。その調査官に,あなたが親権者としてふさわしいと判断してもらう必要があるのです。

このため,調査官に対して,適切な受け答えをすることや家庭環境が整っているところを見てもらうことが必要になります。

また,別居中は,③監護の実績の点で,子どもと一緒にいる方の親が有利だと一般に言われていますので,離婚が視野に入っている場合で,親権を取りたいと考えられている場合には,そのことも頭に入れておく必要があるでしょう。

離婚に関する争点の中でも,子どもの問題はその後の生活に影響を及ぼす最も重大な争点の一つといえます。親権獲得に不安を抱えておられる方は,親権問題に実績のある弁護士に相談してみましょう。
4 婚姻費用について
離婚が成立するまでの間,収入の低い方(あるいは,子どもと同居している方)が,高い方に対し,婚姻費用(生活費)を請求することが出来ます。

婚姻費用をきちんと請求し,離婚までの経済的不安をなくすことで,焦らずにじっくりと離婚の条件交渉を行うことができ,有利な結果にもつながります。
このため,当面の生活に不安のある場合には,離婚を決意した時点で婚姻費用の取り決めを行い,また,相手が支払ってくれない場合には,調停を申し立ててこれを決めることは重要です。

なお,調停・審判において,未払いの婚姻費用を請求できる始点は,相手へ明確に請求をした時期となります。このため,メール等の証拠に残る形で,相手に婚姻費用の請求をしておくと良いでしょう。
具体的な金額は、裁判所に算定表という絶対的な基準がありますので、ご自身でもいくらになるか調べてみることをおすすめします。
3
離婚を有利に進めやすいケース

離婚の条件を有利に進めやすいケースとしては,次のものがあります。

1 離婚を請求されている場合
相手から離婚を請求されている場合には,離婚したいのは相手である以上,離婚を成立させるために,条件については,譲歩してくる可能性が高いため,条件交渉は有利に進められる可能性が高くなります。
あまりにも相手の要求が強い場合、かつ唐突に離婚を切り出された場合、配偶者の離婚を待っている方がいる可能性がありますので注意が必要です。

②相手が有責配偶者の場合(証拠がある場合)
相手が不貞を行った,DVやモラハラを行ったといういわゆる有責配偶者であり,なおかつ,証拠がとれている場合には,慰謝料を取れる可能性が高いため,有利であるといえます。

これに加えて,相手が離婚したいと考えている場合は,有責配偶者からの離婚請求となり,離婚が認められるためのハードルが高くなります。このため,話し合いや調停で解決すべく,相手は,離婚条件を譲歩してくる可能性が高いでしょう。
要は、離婚するかどうかの決定権はこちらにのみあることになりますので、その交渉は圧倒的に有利となります。 これらのように有利な条件で離婚が可能な場面にもかかわらず,実際には,相手から理不尽なことをいわれ,有利な条件を得るための交渉を諦めてしまうような方もおられます。 離婚の際に,少しでも有利な条件を勝ち取ることは,その後の生活の糧となりますので,諦めずに交渉をすることはとても重要です。

有利に進められそうな状況であるにもかかわらず,相手方が理不尽な主張をして来る場合や,離婚後のために少しでも良い条件で離婚をしたいと考えられている方は,離婚問題に注力する専門の弁護士へのご依頼をおすすめします。
05 男性が離婚協議を有利に進めるためには

「法律相談に行ったら『離婚するときは男性が不利』『早く負けを諦めて離婚した方が良い』と言われました」といった声を耳にすることが良くあります。実際にネットを見ても、離婚は男性が不利と書かれた記事も見かけます。

ですが、本当に為す術なく女性の言うなりに離婚を進めなければならないのでしょうか。

確かに男性は、女性よりも考えるべきポイントは多く、その結果、諦めるべきところも出てくるかもしれません。ですが、主張すべき点はしっかりと主張をすることで、「一方的な離婚」「言われっぱなしの離婚」を防ぐことができるのです。

当事務所は、離婚に注力する弁護士としては珍しく、男性側からの依頼が多くあり、通常の離婚弁護士であれば8,9割が女性からの依頼となりますが、当事務所は4,5割の依頼者の方が男性となっております。
これは、私の風貌が強面であり、
「島先生を男と見込んで」「面構えが良かった」「野球人に悪い人はいない」
などおっしゃって皆さんいらっしゃいます。

DV・モラハラをする男性は、私に「何か」を感じるようで私の事務所には来ない傾向にあります。他方で、DV・モラハラに苦しんでいる女性の方は多数いらっしゃいます。

ですので、男性側の離婚案件を扱った件数は、通常の弁護士はもちろん、通常の離婚弁護士と比較しても、多いといえ、それだけノウハウの蓄積があります。
ということで、独立して以下述べていきたいと思います。

1
まずは、婚姻費用

男性が離婚に向けて活動するにあたり、最も気を付けなければならないのが婚姻費用です。

婚姻費用とは、夫婦と子供が通常の生活を維持するために必要な「生活費」を指し、夫婦の収入に応じて分担する義務があります。
婚姻費用は別居した後であっても離婚をするまでの間は支払わなければなりません。

特に、妻が専業主婦であったり、パート等収入が少ない場合や、子供が私学に行っている場合など予想以上の婚姻費用を負担しなければならない場合もあります。
逆に妻側からすれば、離婚をしてしまうと婚姻費用が受け取れなくなりますので、離婚協議が長引いても問題ないと考える傾向にあります。

むしろ敢えて離婚協議を長引かせる戦略を取ってくる女性もいます。
私が女性側に就いたら、できる限り高額の婚姻費用を決定させ、その後有利に交渉することをまず検討します。
また、女性は今までの生活を変えなくない一心で、相場を超える高額な婚姻費用を求めてくることもあります。

男性側は、まずは婚姻費用の出費を抑えることを考えなければなりません。
婚姻費用が高額になればなるほど、相手方は離婚をする理由がなくなってきます。
よくお子様のために従前通りの家計でやりたいという男性がいらっしゃいますが、その状況にしてしまうと離婚がそれだけ長引くと言うことをリスクとして説明するようにしています。

2
離婚協議の進め方

離婚を決意することはかなりのエネルギーが必要です。
そのため、一度離婚を強く決意すると、なかなか「もう一度やり直してみよう」とは思えないことも多いのです。特に女性は一度決意した離婚を翻意することはほとんどありません。

「離婚なんて考えてもない」という男性の場合は、妻の夫婦関係・家族関係に対する不安や不満に真摯に耳を傾け、丁寧に問題を解決することで、妻に離婚を決意させてしまわないよう、心がけましょう。

「離婚は仕方がない」と考えている夫婦はどうでしょうか。
妻もこれまでの夫婦・家族関係に不満が溜まっている状況ですので、妻の話を無視して一方的に話を進めてしまえば、妻も意地になって一切譲歩しないこともあり得ます。

離婚協議とは、夫婦・家族についての最後の話し合いですから、妻の意見にも耳を傾けることが、逆に妻からの譲歩を引き出すきっかけにもなりますので、しっかりと妻と向き合って話をすすめてみましょう。

3
協議が難航した場合

夫婦での話し合いがどうしても困難な場合もあります。
その結果、長期間にわたり婚姻費用を支払い続けなければならない状況に陥るかもしれません。
妻側に代理人が入っている場合には特に婚姻費用をもらい続けるメリットが説明され、話し合いがのんびりと進められてしまうこともあります。

このような場合には、男性から離婚調停や離婚裁判を起こすことも検討しましょう。夫婦の間に調整役の第三者が入ることで、話し合いがスムースに進むこともあります。
何より大きいのが、締め切りを設定できることにあります。任意の協議段階では双方が納得しない限り何年でも協議が継続し、中には放置されてしまうこともあります。
しかし、自己が有責配偶者ではないのであれば、およそ3年の別居で離婚は認められることが殆どであり、その期間を念頭に置いて裁判所でのスケジュールを組めば、相手方は裁判所から「どうせ判決なら離婚なんだから」と早期離婚を促されます。

なお、調停は平日に行われますので仕事を休まなければなりませんし、また、次の調停の日までに考えなければならない課題が出されたり、資料を提出しなければならかったりと仕事の合間にする作業が増えることがあります。
このような場合でも、弁護士に依頼することで、代わりに調停や裁判に出頭してもらったり、課題を適切に処理することが出来ます。

4
養育費

女性が親権者になった場合には、男性は女性側に対して毎月一定額の養育費を支払わなければなりません。

子供のためにはできる限りのことをしてあげたいと考えている男性が殆どかと思いますが、その一方で、養育費が多額になれば、自分の生活が苦しくなる可能性もあります。
長期間に亘る支払いですから、しっかりとした金額にすべきといえます。

もしくは、毎月ではなく一括でまとまった養育費を支払って終わりにしたいと考える男性もいるかもしれません。
あるいは、ちゃんと子供のために養育費が使われているか、把握しておきたいと考える男性もいらっしゃることでしょう。
養育費をいくら支払うのか、その支払い方法をどうするのか、妻の口座に振り込むのか塾や学校に直接振り込むのかといった点を決めて、合意書を作成することで、その後の紛争を予防することが出来ます。

私の扱ったケースでも、曖昧なまま離婚してしまい、塾や習い事のある度にお金を要求されることに耐えかねて、後日正式な合意書を作成したというケースが多くあります。
離婚時にしっかりとした合意をしておくことをおすすめします。

5 財産分与
財産分与は、夫婦が婚姻生活を営む間に築いた財産を分ける手続きで、

原則は夫婦がそれぞれ1/2ずつ財産をもらい受けることになります。
1 分与の割合
夫婦の一方が特殊な技能を有していたり、会社を経営することで財産を多く築いたときなど、夫婦の財産を1/2よりも多めにもらい受けることが出来る場合があります。
ただ、1/2以外の割合になるのは実際にはごくまれなケースとお考えください。
2 特有財産
財産分与の対象は「夫婦で築き上げた財産」ですので、例えば自分の両親から贈与された財産や相続財産などについては、財産分与の対象から原則は外すことが出来ます。

また、「夫婦で築き上げた財産」であれば、財産の名義は問われませんので、妻名義の財産はもちろん、子供の名義で貯めてきた預金等についても、財産分与の対象になることがあります。
3
住宅ローン

婚姻中に夫名義でローンを組んで住宅を購入した場合、その家を処分するのかどうか、住宅ローンをだれが負担するのかといった難しい問題が発生します。
夫婦で組んだローンであっても、あくまでも銀行との関係ではローンの主債務者は夫となります。

ですので、ローンを名義変更せずに離婚後は妻が支払いを続けることに決めても、万が一妻の支払いが滞れば、銀行は夫に支払いを求めてくるのです。
売却を考えた場合であっても、中古住宅はオーバーローン(自宅を売却してもローンが完済出来ない状態)になっていることが多いため、残ってしまった債務をだれが幾ら負担するかを決めなければなりません。

6
親権

親権は、子どもの年齢が小さければ小さいほど母である女性が有利と言われており、残念ながら実務でも女性に親権が認められることが多いです。

ただ、子供が大きくなってくると、子どもの意見が重視されるようになっていきますし、これまで子どもと良好な関係を築いてきた場合には、子どもが父である男性と一緒に生活することを希望し、かつ、子どもを実際に養育することが出来る環境が整っていると判断され、親権を取れることもあります。

男性は平日夜遅くまで仕事に出ていることが多く、「養育することが出来る環境」を整えることは難しいかもしれません。
ですが、どうしても親権を希望される場合には、自分が仕事している間も両親に手伝ってもらえるよう両親宅の近くに住んだり、残業をしなくても良い部署に異動するなどして、しっかり面倒をみれる環境を整備することが不可欠です。

親権をとることがどうしても難しい場合には、親権を諦めて子どもと会う機会(面会交流)をしっかり確保するよう交渉することも重要となります。

7
面会交流

面会交流とは、子どもと一緒に住んでいない親が子どもと交流を持つことを言います。

面会交流の決め方は「月に1回程度交流する」とざっくり決める場合と、「毎月第〇日曜日の〇時から〇時まで、△△で子どもを引き渡す」等具体的に決める場合があります。

また、子どもと直接会って交流する方法のほか、手紙やメール、電話といった手段を用いて間接的に交流する方法もあります。さらには、長期休暇等の際に、宿泊を伴う面会を実施する場合もあります。

面会交流の方法や回数等を決めたら、面会交流をしっかり実施してもらえるように、合意書を作成して取り決めの内容を残しておくようにしましょう。
また、子どもを監護する母が父と子の面会を拒否して、会わせてくれないケースもあります。このような場合には、調停を起こして裁判所で話し合いの機会を設けて面会の機会を確保してもらう必要があります。

06 さいごに

以上長々と離婚に関して知っておきたいことを私なりにまとめてみました。
離婚に注力してから数百件の離婚事件を手がけてきました。そのノウハウの蓄積には終わりはなく日々依頼者の方の案件に真剣に向き合うことで、多くのことを教えてもらっています。
それは今後も続くのだと思います。

離婚と言っても、依頼者の方ごとに、事案ごとに、問題となることは多岐に亘り、マニュアルのようなもので対処できないことの方が多いです。
そんなときに大事なものは、
「事件の筋(過程と結論)を読むこと」
だと思います。

そこを間違えなければ、自ずと良い結果に導かれます。

逆に、そこを読む力がないと、どんどん自身の首を絞めていくことになります。

最近、筋の読めない(あえて読まないのかもしれません・・・)弁護士が相手方になることが増えてきました。

やはり事案に即した適正な解決をするためには、そういったノウハウを有する弁護士に相談し、出来れば代理人とするのが一番の近道ではないかと思います。

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