調停を申し立てられた方へ

裁判所からある日突然手紙届き、中を開けたら配偶者からの離婚調停の申立書だった。

しかも、配偶者にはすでに弁護士が付いていて身に覚えのないことが書かれている。

などという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

調停離婚について

 日本の離婚裁判は、調停を経ずに行うことが出来ません。これを調停前置主義と言います。

要は、家庭内の問題なのだからいきなりドラスティックな訴訟ではなく、まずは話合いでの解決を探してみて欲しいというのが日本の裁判の立場なのです。

夫婦間で離婚協議の折り合いがつかない場合、もしくは、何らの話合いもなく離婚調停が申し立てられることがあります。

夫婦間で離婚協議すなわち当事者間の話合いによる離婚を目指して話し合ってみたものの離婚の合意が出来ない場合に、家庭裁判所に調停の申立てをします。

 

調停期日では公平な第三者である男女二人の調停委員を介して話合いにより離婚合意を目指すことになります。

調停の申立ては、調停離婚したいと思えば自らの意思のみで行うことが出来るので、ある日突然裁判所からの書面が届くことになるのです。

協議と調停で迷って相談にいらして下さる方にアドバイスをして、調停から始める方針となった場合にはXデーを決めて、その日に別居し、その日に調停を申し立てるということをよくやります。

弁護士が付いている場合、あえて裁判所からの書面がいきなり届かせるような形を取ったりもするのです。

また、調停の第1回期日は、調停申立てをした人と裁判所の都合だけで期日が決まります。

ですので、裁判所から書類が届いた段階で既に特定の日時に決まっており、通常は申し立てられた側の事情で変更されることはありません。

ただ、最近はその日は無理だが直近の日に出席できる日があると提案すると、申立てた人が了承すれば変更されることもあります。
 

裁判所からの書類が届いたときには第1回期日までの期間は1月弱程度となるのが通常です。意外に時間がないため、準備不足で訳もわからずに調停期日に出頭してしまうことが多いのです。

相手は満を持して自分のタイミングで調停申し立てをしており、こちらが知るずっと以前から第1回調停期日も知っているのです。

相手のペースに乗ってしまわないことも重要です。相手の間合いを変えていくことも場合によっては検討しないとなりません。

一度どのような対応をすべきか弁護士に相談するのが賢明と言えます。

 

第1回の調停期日は行かなくても良いのか?

答えとしては、1回目だけならOKとなります。

ただ、行かない場合でも裁判所には電話して2回目以降参加する旨を伝えなくてはなりません

音信不通での欠席は初回で調停が不成立となるおそれがあります。

調停不成立となると相手は裁判を起こすことが可能となるため、離婚事由がある場合などすぐに裁判となり、離婚が認められるなどのおそれがあります。

調停は話し合いの場であり、双方がそれで良いということは大抵認められるため、柔軟かつ二人の意向に沿った形での解決、話合いが可能ですが、裁判になるとなかなかそのようには行かず、判決となるとほぼ機械的に離婚条件が決定されます。

また、裁判所の呼び出しに応じないことは、その後の手続きにも影響を与えることがあります。例えば、お子様の親権について争いになる場合、裁判所にやって来ようともしない人よりも熱心に裁判所に通う人の方が子供の世話もしっかり見ると判断されてしまう可能性もあるのです。

どうしても仕事などなかなか出席できないときは、代理人である弁護士を付け、自らの意向を裁判所に伝えていく必要があります。

 

離婚調停の注意点

ここで注意して欲しいことが2つあります。

1つ目は、相手に弁護士が付いている場合です。

この場合、自らも弁護士を付けないと一方的に不利になる可能性が高くなります。よく相談者の方に説明するのですが、東京から大阪へ行くのに、相手は新幹線で行くのに、徒歩で行って勝ち目はありますか?ということです。確かに徒歩でもいつかは大阪に着くことは出来ますが、新幹線で行った人と対等な戦いは出来ないでしょう。

私たちの業界では武器対等の原則、要は相手が武器を持った以上自分も同じレベルの武器を持たないと勝負にならないということになります。

2つ目は、現在の調停では調停員が自らの見解を押しつけることがままあり、そのような調停員には裁判所で採用されるような法的根拠を持った意見を主張していく必要があります。親権などを争う際調停に参加する調査官ですらまったく法的根拠のない意見に拘泥することすらあるのです。

調停に初めて参加する方がそのような調停員に対ししっかりとした反論をするのは相当難しいと思います。そういった次第ですので現状離婚調停においては弁護士を代理人として付けることが最良の結果を導く必要不可欠な手段となりつつあります。

弁護士に依頼をする利点

裁判所から書面を受け取ったら、まずは弁護士に相談するのが大事です。
いきなりの書面で戸惑い、不安になられる方が殆どであり、そのような心理状態のまま調停に行くことは得策とは言えません。

専門家である弁護士、もっと言えば離婚に注力する弁護士に相談することで、自らの置かれた状況を把握した上で自らの対応を決めることが出来ます。
 
また、調停は書面ではなく、当日その場で調停員を介してのやり取りが中心となります。要は、その場その場のアドリブが求められていきます

そういった初めての機会の方が多いのに、自ら丸腰で行くのはある意味無謀とも言えます。

弁護士を代理人とすれば調停手続きに同行し、一緒に調停室に入り、調停員の不合理な要求や意見を排斥し、墓穴を掘っていまいそうな際には制止、撤回してくれます。
調停においてはその場での対応が成否を決めるため弁護士を付けることこそが調停を失敗しない一番の近道と言えるのです。

 私の事務所がある横浜家庭裁判所横須賀支部では毎週水木金の午前午後に調停が行われております。

一週間で最大6枠あるのですが、その6枠、5枠、4枠と毎週のように調停に出ております。たまに3枠しかない週など「ずいぶん暇だな」などと思ってしまいます。

何が言いたいかというと、毎週のように離婚調停に出ており、調停員のやり方、性格などを知り尽くした弁護士と年に何回か家庭裁判所に行かない弁護士では力量に大きな差が生じるのです。

そのような離婚調停を知り尽くした弁護士を代理人とすれば結果は自ずと出るのではないでしょうか。

 

弁護士に相談するタイミング

 いつ弁護士に相談すればよいでしょうか。それは1日1時間1分でも早くと言うことになります

専門家である弁護士に相談することでマイナスとなることはありません。

仮に相談料が発生しても、自らの状況を把握するために有益な時間となるでしょう。

相手のペースで、何をすれば良いかもわからずに、調停手続きに参加することは自らの望む条件での離婚を放棄しているとも言えます。

まずは、早期段階で弁護士に相談をしましょう。

代理人として弁護士を付ける付けないは別として、まずは自分の状況をしっかりと把握することが肝要です。
 
裁判所から届く答弁書に何でも洗いざらい書いてしまうと後戻りも出来なくなってしまいます。

裁判所から求められる書類に何をどこまで書くかも弁護士のアドバイスの下行うべきと言えます。

当事務所では、初回無料法律相談を実施しておりますので、一度離婚問題に注力をした弁護士の見解を聞くことは大きな異議あると考えております。
皆様の悩み・不安を解消すべくお気軽にご利用下さい。

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執筆者
島武広 
島法律事務所 
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)

当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

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