離婚協議においてしてはいけない発言と主張

離婚に注力し、数多くの離婚事件を担当させていただき、いくつか思うところがあります。
それは、無意味な発言・主張に拘るがために、双方の感情的対立が激しくなり、紛争が長期化してしまうことが多々あります。

当事務所にご依頼頂いた皆様には、私の方から、そういった発言・主張をしてはならない理由、その後の展開、なすべき発言・主張をアドバイスさせて頂き、感情的対立や紛争の長期化を避けるようにしています。
ただ、離婚弁護士ではなく、初めての離婚であれば、そういったことを意識するのは難しいのも当然です。

ですので、ここでは離婚協議においてしてはいけない発言と主張について説明していきます。

まず、何を発言・主張してよいのか、いけないのかを理解するには離婚で話し合うことが何かを強く意識しなくてはなりません

離婚で話し合うことは、非常にシンプルかつ少ないのです。
① 離婚するかどうか
② 子どもについて
③ お金について
しかありません。

ですので、この内容に関することで、かつ、その事案で争点となっていることに絞って発言・主張していけばいいのです。

1 離婚するかどうか

まず、離婚するかどうかですが、双方が離婚意思を有しており、離婚については一致しているのであれば、あとは離婚条件を詰めていくだけです。

そのことは当たり前のことなのですが、大半の方が「お前が悪い」「私は悪くない」などいう発言・主張に固執して、そういった発言・主張への反論を必要以上にしようとします。
まったく意味がないのです。
離婚の意思が合致している以上、どちらが正しいかなどもはや問題ではなく、離婚することは決定しているのです。
ですから、離婚するような人についてどうこう言っても、間もなく他人になるので何の意味も有しません。
むしろ、相手への攻撃が更なる攻撃を生み、なんのための発言・主張なのかわからなくなっていきます。

逆に、離婚意思が合致していない場合、離婚を望む方にとっては、どうして離婚をしたいと考えるのかについて発言・主張していくことは重要となります。
相手が早期に離婚に同意していくれるには何が有効かを考えて、発言・主張していくことになります。

このようなケースで一番意味が分からないのは、離婚を望む方ではなく、復縁を望む方が「相手がすべて悪い。私は悪くない。」
といきり立ち、相手への人格攻撃などをしてくることが多々あります。
驚くことに代理人が就いていても、当然のように罵詈雑言を浴びせてくることがあるのです。
目的と手段を理解できておらず、調停員や裁判所も呆れていきます。

離婚意思によって、何を発言・主張すべきであり、してはいけないを強く意識しましょう。

2 子どものこと

子ども事ですが、具体的には⑴親権⑵養育費⑶面会交流が問題になります。

⑴ 親権

親権を得たいのであれば、いかに自分とその周りにある環境が、子どもの健全な生育に資するかを認めてもらう必要があります。

しかし、離婚をそれなりに担当する弁護士がついていても、
「相手はこんなところがあるから親権者にふさわしくない」
と相手の粗さがしに終始する発言・主張があります。

まったくとは言いませんが、主張する内容が折檻やネグレクトに該当するような場合を除き、あまり意味はありません。
今の裁判所実務では、そういった消極的理由ではなく、どちらの下で生活したほうが幸せかという観点で親権が決まります。
そういったことを理解せずに、弁護士でも夫婦喧嘩の隠し音声などをこれみよがしに証拠として提出してくる弁護士もいます。

そのような足の引っ張り合いをする暇があったら、いかに自分が親権者としてふさわしいかを示す事実を淡々と発言・主張していく方が賢明です。

⑵ 養育費

算定表があるため、殆どのケースで自動的に決まっていきます。
細かい点を必死に主張しても、特に取り合ってもらえないことが圧倒的に多いです。
問題となるのは基準となる収入額、通常の養育費に加えて加算すべき出費(大学の授業料、大病にかかる医療費など)があるかどうか、程度であり、そこが確定すると淡々と処理されていきます。

ですので、収入に争いがなく、特別な出費の有無が決まっているなら、養育費でどうこうするのではなく、他の事項で争う方が賢明です。

⑶ 面会交流

面会交流もよほどのことがない限り月1回程度実施することで落ち着きます。
子どもが年齢を重ねていき、部活や習い事を始めるなどすると、月1回でも面会交流を実施するのは負担となっていくため、月1回程度の面会交流とするのが裁判所実務となっています。

しかし、毎週会いたい、泊りを認めてほしい、行事は全部出たい、自分の親にもたくさん会わせたいなどの過剰要求をする人が散見されます。
もちろん、離婚する相手方がOKしてくれたら問題ないのですが、そうではない場合、そういった主張は裁判所では認められません。

それにも関わらず、過剰な条件を要求し続けると、相手の対応が頑なとなり、早期の面会交流が実施できず、子どもは親と認識しない、会えないことに慣れてしまうなど、負のスパイラルに陥ってしまいます。

面会交流は兎にも角にも実施することが大切です。
実施していき、子どもが前向きになり、相手からの信頼も得られていけば、徐々に条件も緩和していくことが多いです。
ですので、審判となれば認められない条件に拘ることは控える方が賢明です。

3 お金のこと

お金のことは、既に述べた養育費を除くと⑴慰謝料、⑵財産分与、⑶婚姻費用、⑷年金分割が問題になります。

⑴ 慰謝料

多くの方が、大変苦労したから請求したいと仰るのですが、現在の裁判実務では、DV、不貞行為以外の理由はほとんど認められず、相当ひどい態様で証拠もしっかりしているモラハラに僅かな金額が認められるくらいとなっています。

ですので、当事務所では、最初の相談で慰謝料が取れるかどうかは明確に述べさせていただいています。
中には、そういった回答に激高される方もいらっしゃいます。
ですが、取れないものは取れないので、正直にお伝えする他ありません。

夫婦関係に苦労してきた方には納得できないのは十分理解できるのですが、そういった内容の大半は離婚事由こそなれ、慰謝料発生事由にはならないのです。

弁護士をつけていない方がそのような発言・主張をするのは理解できなくもないのですが、最近は弁護士がついていても、そのような主張をしてくることが多々あります。
「何を言っているんだ?この弁護士は・・・」
と思わずにはいられません。

また、慰謝料請求には、明確な証拠が必要です。
バイアグラやコンドームの写真などで不貞行為とおっしゃる方もいるのですが、残念ながら証拠になりません。
証拠についても、初回相談で明確に回答させていただいています。
証拠がないにもかかわらず、慰謝料請求に拘るのは得策とは言えません。
有益なのは、婚姻費用を長くもらいたいときや何らかの事情で離婚を引き延ばしたいときくらいとなります。

⑵ 財産分与

ほぼほぼ、結婚後に築いた共有財産を2分の1ずつ分けるだけのですが、
「私が働き、妻は専業主婦だったから、割合は4分の3と4分の1にすべき」
などと真剣に主張する人がたまにいます。中には弁護士が付いていても同じことを主張することもあります。
そういった主張はまったく意味がありません。

そんな主張をするなら、何が財産分与の対象となるか、財産分与対象財産の価額をどうするかを考えた方が賢明です。

⑶ 婚姻費用

婚姻費用も養育費と同様に算定表があるため、淡々と決まります。
内容証明郵便を送付しているのに、それ以後に支払い始期があると主張する弁護士もたまにいます。しかし、その考えは認められません。
そういった主張をするなら、早く離婚をする方法を考えて、婚姻費用を養育費に減額する方が賢明です。

⑷ 年金分割

争っても相手方が調停を申し立てると2分の1割合での分割にしかなりません。
争っても無駄といえます。
そこで争うよりも、他の事項で争うべきです。

以上、離婚協議での発言・主張してはいけないことを説明してきました。
少しでも参考になれば幸いです。
実際には事案ごとにしてはいけない発言と主張は変わってきます。
お悩みがあれば是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
主張すべきこと、主張してはいけないことを明確にアドバイスさせていただきます。

執筆者
島武広 
島法律事務所 
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)

当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>

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