別居したいが進め方がわからない方へ

別居の期間が長くなると婚姻関係の破綻と評価され、離婚が認められやすくなります。

別居している間には、婚姻費用分担請求することができます。

しかし、別居を強行することでデメリットが生じ、かえって離婚から遠ざかることもあるのです。

それぞれの夫婦の状況により、別居についてそれぞれ採るべき手段があり、その判断は難しいのです。

適切有効に別居して、離婚を有利にすすめるためには、望む結果から逆算した正しい戦略を持つことが重要です。

離婚前に別居は必ず必要?

夫婦が離婚するとき、別居を経ることが多いです。

ただ、離婚前に別居しなければ離婚できない、ということはありません。日本では、別居は離婚の要件とされていません。離婚するまで同居することもあれば、調停や訴訟をしていながら同居される方も稀にいらっしゃいます。なかには離婚後も同居を続ける元夫婦もいます。

別居即離婚のような関係には、離婚と別居はないということになります。

別居すると離婚が認められる可能性が高まるのか?

それでは、離婚と別居はまったく無関係なのでしょうか?

まず、夫婦には同居義務があります。これは、同居をして互いの生活を助け合うことが婚姻の根幹をなすということによります。そこで、別居をしてしまった夫婦は、双方が助け合って同居しながら生活を助け合う義務を放棄してしまったとみなすことが出来、離婚が認められやすくなるといえます。

 

また、離婚を望む相手と一緒に暮らすのは本当に精神的苦痛を伴います。特に女性の方は、一度嫌いなってしまった夫と同じ空気を吸うことも嫌だ、というくらい徹底的に嫌うことが多いです。

実際に、離婚が争いになるときに別居していると同居している事案より離婚が認められやすくなります。たとえば、自分は離婚したいけれども相手が離婚を拒絶している事案では、別居している方が離婚を認められやすいので、まずは家を出て別居するところから始める人も多いです。

別居何年で離婚できるのか?

別居した方が離婚が認められやすいというのはその通りなのですが、別居したからと言って必ず離婚が認められるわけではありません。

特に、民法の定める離婚原因がない単なる性格の不一致などの場合、それだけでは離婚が認められにくいといえます。

そのような場合、長期間別居することによって裁判所が離婚を認める可能性は高まります。

別居期間が長くなることで、夫婦としての実態は損せず、夫婦関係が破綻していると認定されやすくなるといえます。離婚が認められるまでの別居期間は決まりがあるわけではありませんが、3年から5年くらいが標準的です。

協議離婚なら別居しなくても離婚できる

えっ、5年経たないと離婚出来ない?という意味ではありません。

この期間は、あくまでも裁判をして判決を取って裁判離婚を認めてもらうための一応の目安期間なので、協議離婚する場合には、その期間にとらわれる必要はありません。

別居後相手と離婚の交渉や調停をすぐに開始して離婚や条件について合意できれば、別居後1年以内でも協議離婚や調停離婚が成立するのです。

離婚前に別居すべき場合とは?

弁護士として多くの離婚事件に携わってきた経験上、離婚前に別居すべきと言える場合があります。

DV、モラハラのケース

まず一番に挙げられるのは、DVやモラハラです。

この場合、相手との同居により心身を傷つける可能性が有り、命や健康より大切なものは存在しないといえます。相手の前で萎縮してしまうとまともに離婚交渉を進めていくことが出来ません。別居して、相手と直接接触する機会を減らした上で離婚交渉を進めていくのが賢明と言えるでしょう。

DVについて詳しくはこちら>>

モラハラについて詳しくはこちら>>

相手が離婚に応じてくれず明白な離婚事由がないケース

次は、相手が離婚したくないと言っている場合です。

この場合、同居したままでは離婚が認められる可能性は低く、相手が翻意も期待しにくいです。そこで、別居をすることでいつかは来る夫婦関係の破綻という期限を設けてから交渉に挑むことで相手へプレッシャーを与えることが出来るのです。

相手が離婚に応じてくれない場合の対応について詳しくはこちら>>

 

相手との同居を耐えられないケース

最後は、相手との同居が耐えられない場合です。

双方とも離婚には同意している、DVなどないとしても、同居自体がお互い耐えられないことは良くあります。そんな状態で夫婦が離婚協議を進めようとしても、喧嘩になってしまう、話自体が出来ない、ということも多々あります。相手に借金してしまったことが発覚したケースでも同様です。このような場合、いったん別居をして距離を置いた方が離婚協議を進めやすくなることもあるのです。

以上が、特に別居をお勧めしたいケースです。

別居後連絡先を伝える必要はあるのか?

別居後、相手に連絡先を伝える必要があるのかという問題があります。これについて、よほどのことがない限り伝えるべきでしょう。交渉をするためには連絡先は必要だからです。

それでも、連絡が取れる最低限、たとえば電話番号のみ伝えるとか、メールだけを伝えるなどです。

もちろん住所と電話番号とメールなど、全部伝えても支障がないのであれば教えても問題はありません。

DV事案では連絡先を伝えてはいけない

当然DVなどでは相手に連絡先を伝えると、相手が家に押しかけてくる可能性がありますので教えないのが通常です。

相手に居所を掴まれてしまうと、暴力を振るわれるたり、家に連れ戻されたりするおそれもあります。例えば、DVシェルターや保護施設に入ったときには、外部に連絡先を伝えること自体禁止されます。

上記のような危険がある事案では、相手に今の連絡先を伝えない方が賢明でしょう。相手からしつこく連絡来ても居場所を教えてはいけません。「警察に捜索願を出した」などと言う場合もありますが、放置すれば良いだけです。相手に連絡先を教えないことを徹底しましょう。

自分自身では適切な対処が困難な場合、弁護士に対応してもらうのが賢明です。

別居中の生活費、婚姻費用が受け取れる

別居した場合生活費を心配される方がいらっしゃいます。

相手が家を出て行った場合にも同じことが言えます。実際にはそれ程心配する必要はありません。

別居中の夫婦には、婚姻費用分担義務があり、婚姻費用として、夫婦の生活費を負担しなければなりません。そこで、収入のある配偶者は収入のない配偶者に対し、生活費を出さなくてはならないのです。相手が家を出て行った場合や自分が家を出た場合、相手に収入があれば、婚姻費用分担請求しましょう。

別居前に生活費についての取り決めをしておけばそのとおりに支払ってもらうと良いですし、別居前に取り決めをしていなかった場合には別居後に相手に請求して支払ってもらうことができます。

婚姻費用分担調停を利用できる

相手が任意で支払をしない場合には、家庭裁判所で婚姻費用分担調停を申立て調停成立ないし審判決定により婚姻費用の支払いを受けることができます。

いずれのケースでも強制執行が出来るため、任意の支払に応じない場合でも多くのケースにおいて婚姻費用の支払いを確保できます。

相手が離婚を拒絶している際、交渉のカードとして

なお、婚姻費用分担請求は、相手が離婚を拒絶しているときにも、もっと言えばそういう場合にとても効果的です。離婚を拒絶する相手方は大抵強い執着心を持っており、お金にも執着心がある方が多いのです。

なかなか離婚することができない場合でも、婚姻費用を支払いが決まると、相手は離婚に応じるまで高額な婚姻費用を支払い続けることとなり、そのような金銭的負担を拒むため離婚に応じることが多いのです。

婚姻費用の負担をしたからといって、妻や子どもが家に戻ってくるわけでもありません。むしろ婚姻費用をもらうまでの決意があるため二度と家庭に戻らない方が圧倒的に多いのです。

そんな中月々の支払が続くと、相手がいないことに慣れることもあり、離婚に応じる可能性が高まります。

そこで、自分は離婚したいけれども相手が離婚してくれないときには、まずは別居して婚姻費用分担請求することで状況打破の言ってとなることが多々あることを知っておいてください。

相手に戻ってきてほしいときにはどうする?

ある日突然、結婚相手が別居を強行し家がもぬけの殻となってしまうケースがあります。このような場合、相手に戻ってきてもらいたいときどうすればよいでしょうか。

このような場合、夫婦関係調整調停(円満)を利用することが出来ます。

円満調停についてくわしくはこちら>>

立派な家庭裁判所の調停手続きであり、円満調停とも呼ばれます。円満調停では、出て行った相手に対し、家に戻ってきてもらうことを話しあうことができます。

調停委員が間に入って話を進めてくれるので、相手も冷静になって話しをして、結果として家に戻ってきてくれることがありえるのです。

ただ、相手に同居を強制できず、相手が同居に納得したくない意思を明確にすると調停は不成立になります。実際円満調停を用いても、相手が離婚調停を起こすことが多く、復縁はそれほど多くはありません。

 

別居を強行すると悪意の遺棄になってしまうのか

相手が離婚を望んでいないのに自分が離婚を望んでいるとき、別居をする方法には一応の注意が必要です。

このとき、何も考えずにいきなり家を出ると、「悪意の遺棄」が成立してしまうおそれが僅かながらあります。悪意の遺棄は民法上の離婚原因にもなっていますが(民法770条1項2号)、悪意の遺棄と判断されると有責配偶者となり、自分の方から相手に離婚請求することが認められなくなってしまいますし、離婚するときには相手から慰謝料を請求されてしまうことも理論上あり得ます

ただ、実際にはよほど悪質なケースを除き成立しない場合が圧倒的です。

悪意の遺棄が成立するパターン

悪意の遺棄が成立する典型的なパターンは、「別居して生活費を払わない」ケースです。

ただ払わないと言うより、全く払おうとしないというケースになります。実際にはそこまでのケースはほぼないと言ってよいでしょう。

悪意の遺棄について詳しくはこちら>>

 

不安がある場合には弁護士を

このように離婚前の別居方法は、ケースに応じて対処方法がかなり異なるので、間違った判断をしないためには一度専門家である弁護士に相談することが重要です。

当事務所の初回無料法律相談を是非ご利用ください。

自ら浮気している場合の別居

自分が浮気をしている場合、別居する際、色々と問題があります。

間違っても浮気相手の家で同居を開始するなどしないようにしてください。

不貞の慰謝料が発生して、事案によっては悪質と見做され支払い額が相当大きくなってしまうおそれもあります。何より有責配偶者となり、自らの意思では離婚を実現することが出来なくなってしまいます。

不貞をしている側が別居するときの注意点

そこで、自分が浮気をしている場合、すなわち、不貞しながらの別居には十分慎重になるべきです。

浮気相手の存在をばれないように細心の注意を払いましょう。

新しいパートナーと結婚まで考えているなら、離婚成立までプラトニックな関係を続けるくらいの覚悟が必要です。また、別居後の生活費も正規の金額を支払いましょう。そのような姿勢が頑なな配偶者の気持ちを解していくことが多いのです。

子どもがいるときの別居

子どもがいるときの別居方法にも注意が必要です。

まず、子どもを連れて行くか置いて行くかという問題があります。子どもの親権者について争いがない場合には良いのですが、どちらも親権を望んでいる場合には、子供と暮らす方が親権獲得に大きく近づくのです。特に男親の場合は、子供を相手方に渡しての別居は親権獲得を困難にしてしまいます。

そこで、子どもがいる場合に別居したい、しかも親権獲得を目指すなら、事前にしっかりとした準備し、戦略を立て、憂いのない状態での別居をしましょう。

別居前の注意点

離婚前に別居するとき、別居前の注意点としては、別居後に出来ないことを別居前にしておこうという点があります。具体的には財産分与の対象となる相手の財産をしっかりと把握、ごまかせないような証拠として保存しておきましょう。

他にも、相手の不貞が疑われる場合、その証拠や突破口となるような事実を集めておくことが極めて重要です。

最近はLINEにより言い訳の出来ない証拠が見つかることが多く、それを基に行動パターンを読み、ピンポイントで興信所を依頼し、動かぬ証拠を獲得できるケースが増えています。

興信所の料金、技量は大きく差異があります。離婚を真剣に取り組んでいる弁護士は、安くて腕の良い探偵を大抵知っています。その点も含めて弁護士に相談されることをお薦めします。

具体的な財産分与対象となる財産

財産分与の準備として、預貯金通帳や生命保険証書、証券会社や投資信託などの関係書類も可能な限り集めましょう。

このような資料は、別居後には入手できなくなることが多いので、同居中にすべてコピーなどしておきましょう。

証拠としての保存の仕方も弁護士に相談しましょう。通帳のコピーがあってもまったく証拠として使えない、という形で保存されている方も散見されます。

 

別居前に弁護士に相談し、憂いのない方針を立てる

以上のように、離婚前に別居することにはメリットがある一方、無戦略で強行すると後々自分の首を閉めることになりかねません。

そうなってからでは遅いので、事前にあらゆる事項を検討し、詳細に方針を立てることで自らの目指す最良の結果を得ることが出来ます。

このように、離婚と別居の問題については、非常に検討すべき課題がたくさんあり、すべてを自分の判断だけで適切に行うのは極めて困難です。

今後離婚を有利に進めるため別居したい方、相手が家を出て行ってしまい困っている方など、まずは離婚問題に強い弁護士に相談することこそが自らの目指す離婚や復縁を実現する近道なのです。

一人で悩むだけではなく、まずは当事務所の初回無料法律相談を利用し、自らの目指す離婚、復縁に近づき、その後の人生を幸多きものとするための新しい一歩を踏み出してください。

執筆者
島武広 
島法律事務所 
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)

当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>

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