離婚に向けたシングルマザー・子育て支援制度の活用

1.はじめに:離婚の壁となる「経済的不安」を乗り越えるために

「夫と離婚したいけれど、ひとりで子どもを育てていけるか不安」――このように、離婚を考える女性にとって最大の壁となるのが経済的な不安です。

仕事と家事、育児を両立させることは容易ではなく、生活費や家賃、教育費など、出費に対する心配から離婚に踏み切れない方も多いでしょう。

しかし、現在ではシングルマザー(ひとり親家庭)をサポートするためのさまざまな公的支援制度が用意されています。

また、離婚時には元夫から正当な権利として受け取れるお金もあります。これらの制度や権利をしっかりと理解し、最大限に活用することで、離婚後の生活基盤を安定させ、新しい一歩を踏み出すことが十分に可能です。本記事では、離婚に向けて知っておくべきシングルマザー向けのお金と支援制度について詳しく解説します。

2.離婚時に元配偶者から受け取れるお金

国や自治体の支援制度に頼る前に、まずは離婚時に元配偶者との間でしっかりと金銭的な取り決めをしておくことが重要です。

① 財産分与

婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産(預貯金、不動産、保険の解約返戻金、退職金など)を公平に分け合う制度です。専業主婦であっても家事や育児で財産形成に貢献したとみなされ、原則として2分の1の割合で分与を受けられます。

② 慰謝料

相手の不貞行為(不倫)やDV、モラハラなどが原因で離婚に至った場合、被った精神的苦痛に対する損害賠償として請求できます。ただし、性格の不一致などどちらか一方に明らかな責任がない場合は請求できません。

③ 養育費

子どもが自立するまでに必要な生活費や教育費です。親権を持たない親であっても、親として子どもを扶養する義務があります。養育費は裁判所が公表している「算定表」を目安に、双方の収入に応じて算出されます。原則として子どもが20歳になるまで支払われますが、大学進学等の事情により大学卒業まで延長されるケースも増えています。

④ 年金分割

婚姻期間中に納めた厚生年金や共済年金の記録を、夫婦間で分割する制度です。

将来受け取る年金額を増やすことができるため、老後の生活資金の確保として必ず手続きをしておきましょう。

3.シングルマザー・ひとり親家庭を支える手当・給付金

離婚が成立してひとり親家庭となった場合、国や自治体から様々な手当を受け取ることができます。要件や所得制限を確認し、漏れなく申請しましょう。

① 児童扶養手当(母子手当)

ひとり親家庭を支援する代表的な手当です。18歳に達する日以後の最初の3月31日まで(一定の障害がある場合は20歳未満)の児童を養育している場合に支給されます。

所得に応じて「全額支給」と「一部支給」があり、子どもの数に応じて加算されます。

令和6年11月からは所得制限の限度額や第3子以降の加算額が引き上げられ、より手厚い支援となっています。

② 児童手当

ひとり親に限らず、中学生まで(令和6年10月以降は高校生年代まで)の子どもを養育しているすべての家庭に支給される手当です。離婚前に夫の口座に振り込まれていた場合は、離婚後(または離婚を前提とした別居後)に速やかに受給者を自分へ変更する手続きが必要です。

③ 児童育成手当(※東京都などの独自制度)

東京都などで実施されている独自の制度で、18歳までの児童を養育するひとり親に対し、児童1人につき月額1万3,500円が支給されます(所得制限あり)。お住まいの自治体に同様の制度がないか確認してみましょう。

④ 特別児童扶養手当・障害児福祉手当

精神や身体に障害を持つ20歳未満の児童を養育している場合に支給されます。障害の等級に応じて金額が異なります。

4.医療・住宅・生活費の負担を軽減する助成や割引制度

現金給付だけでなく、日々の生活費の負担を減らすための制度も充実しています。

① ひとり親家庭等医療費助成制度

ひとり親家庭の親と子どもが病院を受診した際、健康保険の自己負担分の一部または全部を自治体が助成してくれる制度です。

自治体によっては窓口での支払いが無料になることもあり、子育て中の医療費不安を大きく軽減できます。

② 住宅関連の支援(住宅手当・公営住宅の優先入居)

自治体によっては、民間の賃貸住宅に住むひとり親に対して月額数千円〜1万円程度の家賃補助(住宅手当)を出しているところがあります。

また、家賃が安く設定されている公営住宅(都営・市営住宅など)の抽選において、ひとり親家庭の当選確率が高くなる「優先入居制度」も設けられています。

③ 公共料金の減免・交通機関の割引制度

児童扶養手当を受給している世帯は、JRの通勤定期券が3割引になる制度や、上下水道料金、粗大ごみ処理手数料などの減免を受けられる場合があります。

④ 税金の控除(ひとり親控除・寡婦控除)

所得税や住民税の計算において、一定の金額が所得から差し引かれる制度です。

税負担が軽減されるだけでなく、保育料の算定基準となる住民税が下がることで、結果的に保育料が安くなるというメリットもあります。

5.シングルマザーの就労・キャリアアップ支援

長期的に安定した生活を送るためには、国や自治体の就労支援制度を活用して、収入アップを目指すことも重要です。

① 自立支援教育訓練給付金

ひとり親が就職に有利な資格(医療事務やIT関連など)を取得するために指定の講座を受講した場合、受講費用の最大85%(年額上限あり)が支給される制度です。

② 高等職業訓練促進給付金

看護師、保育士、介護福祉士、理学療法士などの国家資格取得を目指して養成機関で学ぶ場合、その期間中(最大4年)の生活費の負担軽減として、毎月最大10万円が支給されます。

③ マザーズハローワーク

子育て中の女性の就職支援に特化したハローワークです。

キッズスペースが併設されており、子どもの預け先や学校行事への配慮がある求人などを専門の相談員が一緒に探してくれます。

6.離婚の交渉と制度活用は弁護士に相談を

ここまで様々な支援制度をご紹介しましたが、これらの制度を十分に活用するためには、まずは「適正な条件での離婚」を成立させることが大前提となります。

特に養育費や財産分与の交渉は、相手方がすんなりと応じないケースも多く、個人での交渉は精神的にも大きな負担となります。

離婚問題に強い弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

・適正な養育費・財産分与・慰謝料の額を計算し、相手方と交渉してくれる。
・養育費の不払いを防ぐため、法的効力のある「公正証書」や調停調書の作成をサポートしてくれる。
・離婚協議中(別居中)の生活費として「婚姻費用」の請求手続きを行ってくれる。
・精神的なストレスを軽減し、離婚後の新しい生活の準備に専念できる。

7.まとめ

子どもを抱えての離婚には不安がつきものですが、日本にはシングルマザーを支援するための多種多様なセーフティネットが存在します。

児童扶養手当などの現金給付から、医療費の助成、住宅支援、就労に向けた資格取得の補助まで、これらをフルに活用することで経済的な見通しは大きく変わります。

まずは、お住まいの市区町村の窓口(子育て支援課や福祉窓口)でどのような制度が利用できるか相談し、情報を集めましょう。

そして、元配偶者からの養育費や財産分与を確実に受け取るために、一人で悩まず弁護士などの専門家にサポートを依頼し、お子様との安心できる未来への一歩を踏み出してください。

離婚したいが、離婚後の生活に不安を抱えている方は、ぜひ島・鈴木法律事務所の初回無料相談をご利用ください。

離婚弁護士として多くの案件を扱ってきた経験とノウハウから事案に即した適切なアドバイスをさせていただきます。

執筆者
島武広 
島・鈴木法律事務所 
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)

当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

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