高額収入世帯の財産分与について
世帯年収が1000万円以上であったり、夫婦ともに年収700万円以上であったりする高額収入夫婦の財産分与についてここでは説明していきます。
基本的には通常の財産分与と変わらないのですが、以下で確認していきます。
財産分与の対象
夫婦が離婚する際には、「財産分与」について取り決めをする必要があります。
結婚は二人の共同生活であるため、結婚期間中に夫婦が共同して築き上げた財産は。原則として「共有財産」とみなされます。そして、離婚の際には、共有財産を二人で分け合うことになるのです。
以下では、分与の対象となる財産の種類や、分与における注意点について解説します。
分与の対象となる財産
原則として、婚姻期間中に夫婦が築いた財産はすべて「共有財産」にあたります。
分与においては、対象となる財産の名義が夫婦のどちらになっているかは、関係ありません。原則として、夫名義であろうと、妻名義であろうと、婚姻中に築いた財産はすべて共有財産として取り扱われるのです。
退職金
退職金が財産分与の対象になるかどうかは、退職金の受け取り時期で結論が変わってきます。
離婚の時点で退職済みであり、既に退職金が口座に入金されている場合には、その総額のうち、「婚姻中に勤務していた期間に相当する部分」が財産分与の対象となり得ます。
離婚の時点でまだ退職しておらず、退職金が支払われていない場合は、退職金を受け取る見込みの時期によって扱いが異なります。
例えば、2~3年後のような近い将来に退職金を受け取ることがほぼ確実な場合は、財産分与の対象として考慮される可能性が高くなります。
また、離婚の時点で退職が決まっておらず、退職金の受け取り時期や金額もはっきりしない場合には、財産分与で退職金のことは考慮しない、という取り扱いも考えられます。
ただし、最近裁判所は財産分与に含める退職金の範囲を徐々に拡大している印象を持っています。あきらめずに主張することが重要です。
年金
年金については財産分与の対象ではなく、年金分割という別の制度になります。
年金分割は収入とは無関係ですので、手続を経ればよいだけです。
逆に年金分割をしたくないと言っても、相手方が受け入れてくれなければ、手続を経れば相手方の主張が認められることになります。
借金・ローン
夫婦の片方が負った借金・ローンについて他方が責任を負うことはありません。
ただし、借金・ローンが夫婦の共同生活から発生したものである場合には、プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた額を財産分与の対象となることが一般的です。
特有財産
基本的に、結婚前に自分が努力して一人で稼いだお金は、共有財産ではなく「特有財産」にあたります。
原則として、特有財産は、財産分与の対象にはなりません。
結婚前から持っていた預貯金
結婚前に自分の資金で購入した不動産、家財、貴重品
結婚後に親や親族から相続で受け取った財産
別居して、夫婦共同生活を解消した後に自分で築いた財産
などが対象になります。
子ども名義の財産
夫婦間に子どもがいる場合、子ども名義で預金をしている方もおられるでしょう。
この場合、預金の出どころが「結婚してから夫婦で稼いだお金」であるなら、夫婦の共有財産にあたります。したがって、たとえ子ども名義であっても(子ども自身が稼いだとか、親せきからのお年玉などでためたものでない限り)離婚時の財産分与の対象となるのです。
財産分与の手続きの進め方
以下では、財産分与の手続きの進め方を、具体的に解説します。
お互いの財産を開示する
どんな財産を持っているか把握しないと財産分与はできません。
隠される可能性があるのであれば、別居前に相手の財産関係を調査することをお勧めします。
不動産を査定してもらう
不動産会社に査定してもらうことが一般的です。
特有財産を特定する
財産の形成過程など、自分の特有財産であることを立証できるように準備をしておくことをおすすめします。
分与割合を決める
殆どの場合双方の財産を合算して2分の1ずつ分けることになります。
以上述べてきましたが、最初に話した通り、高額収入世帯であっても、通常の財産分与と同じ流れをたどることになります。
ただし、実際の手続では種々の財産をどう評価し、どう分けるか、についてしっかりと準備し、検討しているかどうかで結果はまったく変わってきます。
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財産分与に向けてなすべきこととしてはいけないことを丁寧に説明させていただきます。
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財産分与を弁護士に依頼するメリット
島法律事務所
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>
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