年収2000万円以上の場合の養育費・婚姻費用について

「算定表」には義務者の年収(給与)は、2000万円までしか記載されていません。

では、義務者の年収が2000万円以上ある場合、養育費・婚姻費用の金額はどのように考え、計算すればよいのでしょうか。

通常の計算方法からは修正されるのが通常です。

下記のような考え方があります。

基礎収入を低くする

高所得者は、税法なでによって公租公課の割合が高くなります。

また、特別経費に該当しない部分も、貯蓄や資産形成に回る部分が大きくなり、その全てが生活に費消されるわけではありません。

そこで、これらを総合的に考慮して、基礎収入の割合を、上限に該当する数値から若干低く設定する手法(大阪高決平18.1.18)があります。

 

基礎収入の算定において貯蓄率を控除する方法

これは、基礎収入を算定し、これを生活費指数で按分するものの、基礎収入の算定において、貯蓄率を控除する手法(大阪高決平20.6.9)があります。

 

裁判所は、

「高額所得者の場合には、可処分所得(実収入から税金などの非消費支出を差し引いた額)のすべてを生活費に充てるのではなく、一定の割合を貯蓄に回すことが考えられるところ、その割合については、家計調査年報平成18年家計収支編(総務省統計局)の総世帯の第3表中の平均貯蓄率21.2パーセントとするのが相当である。」

としています。

 

生活状況等から裁量で算定する方法

これは、夫婦の同居中の生活レベル、生活費支出状況、現在の権利者の生活状況から、必要分を加え、浪費部分を除くなどして妥当な婚姻費用を算定する方法(大阪高決平20.5.13)があります。

 

「算定表」の2000万円のゾーンの金額で頭打ちにする

以上の各考え方がありますが実際の事案でどのように考えるかは、最終的には裁判官の判断に委ねられます。明確に決まっているわけではなく、事案ごとに決められていきます。

ですので、当事務所が高額所得者の方の事案を担当した際は、依頼者の方にとって最も有利な方法を主張しています。

高額所得者の養育費・婚姻費用は、ノウハウ豊富な弁護士に相談を

このような高額所得者の養育費・婚姻費用を決める事案を担当して思うのは、以上のようなことをまったく知らずに通常の事案と同じ主張をする弁護士がいたり、中には自分の依頼者が権利者(養育費・婚姻費用をもらう方)であるのに、2000万円打ち切り説を平然と主張したりすることもあるということです。

離婚を専門としている弁護士かどうかによって、高額所得者の養育費・婚姻費用は大きく結論が変わってしまうといえます。

実際の計算はもちろん、ご自身にとってどの考え方を採るかには、専門的な知識と経験が必要となります。

是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。

離婚弁護士としての経験・ノウハウに基づいて事案に即したアドバイスをさせていただきます。

執筆者
島武広 
島法律事務所 
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)

当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>

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