親権を獲得するために
お子様がいらっしゃる家庭が離婚をする際に最初に考えるのは、殆どの方は親権ではないでしょうか。
無償の愛を注いできたわが子と離れて暮らすことになるのは、身が引き千切られるような思いをされていることかと思います。
そんな親権を獲得するためには、従前の生活状況は当然重視され、更に、裁判所での手続ではその場での適切な主張や立証が求められます。
過去私が担当した事件でも、双方代理人がついているにもかかわらず、相手が適切な主張をしないため親権が獲得できた事もあります。
相手の代理人が私で、私の依頼者の代理人が相手の代理人であれば、まったく逆の結果になったのではないかと考えることもあります。
そういった意味では、失敗できない親権の争いについて、弁護士次第で結果が変わることがあるといえます。
また、令和8年4月施行の改正法では共同親権が認められるため、それに伴い大きな変更点があります。
ここでは、親権の獲得を考えた時に注意すべきことを述べていきます。
親権を判断する場合に考慮される要素
親権を双方譲らない場合、当然協議や調停で、「わかりました。親権はお譲りします。」という方はほとんどいないため、裁判・審判までいく可能性が高くなります。
改正前は、単独親権しか認められていなかったため、どちらが親権者かという視点のみで判断されました。
改正法では、共同親権が認められるため、以下の3点を検討していくことになります。
- ①必要的単独親権に該当するか
- ②該当しないとして共同・単独どちらにするか
- ③単独としてどちらが親権者となるか
(1) 必要的単独親権に該当するか
これについては、子の利益を害すると認められるとき、一方の親が子の心身に害悪を及ぼすおそれがあるとき、父母が共同して親権を行うことが困難なときには必要的単独親権に該当することになります。
具体例としては、DV・モラハラ等になります。
(2) 必要的単独親権に該当しない場合、共同親権と単独親権どちらにするか
これは、①子の利益、②親子関係、③父母関係を総合考慮して決められます。
この共同親権創設により、以前は母が子を連れて別居するとほぼ打つ手がなかったのですが、父も共同親権者を希望し、DV・モラハラなどなくしっかりと父親をしているのであれば、十分に共同親権者になる可能性があります。
以前は単なる母から父への嫌悪感だけでも母に親権が認められていたため、父子関係にとっては大きな前進となります。
(3) 単独親権としてどちらが親権者になるか
この点については以前の親権者をどちらにするかの判断をそのまま用いることになります。
① 監護の継続性の原則
従前主たる監護権者であった親の下で暮らすことが子の福祉に資するという考えが裁判所にはあり、多くの事件を担当してきた弁護士として感じるのは、この要素はかなり重視されるということです。
また、別居から相当期間が経過した場合、別居後に生活している環境での生活を継続させようとすることも、この原則にあてはまります。
② 母性優先の原則
一昔前は母「親」優先の原則でした。 昨今の社会の変容に合わせて「母性」になりました。
これは、一昔前の母親が担っていた役割をする人間と一緒に生活することが子の福祉に資するという考えとなります。
ですから、お母さんの役割をお父さんが完璧にこなすのであれば大きなデメリットにはなりません。
ただ、お父さんが激務で早朝から深夜までも働くという場合は、祖父母や親せきの方の協力で穴埋めすること求められることがあります。
③ 子の意思尊重の原則
子どもがどちらの親と暮らしたいと考えているのかも非常に重視されます。
特に14歳程度となれば、ほぼその意志で決まると言っても過言ではありません。
島法律事務所
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>
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