放置を続ける代理人がいる相手方と調停離婚した事案

依頼者

年代　４０代
性別　女性
職業　公務員
居住地　横須賀市
年収　６００万円程度

相手方　

４０代　男性　公務員
居住地　横須賀市
年収　６００万円程度
子供の有無　あり　３名
別居の有無　なし
解決までの期間　１年７か月
争点と結果　離婚、慰謝料、財産分与、婚姻費用
慰謝料の有無　なし
財産分与の金額　数十万円
解決金　１００万円程度

相談のきっかけ

依頼者の方は、不貞行為をしてしまい、そのことがご主人にばれ、再構築をすることになりましたが、ご主人からの圧力が日に日に強まり、日々厳しい扱いを受けることに限界を感じ相談にいらっしゃり、何度か相談の上受任となりました。

弁護士の着眼点

こちらが有責配偶者となるため、すべては相手の意思次第であり、交渉して都度対応する他ないと考えていました。

結果

同居することは双方にとって危険であるため、依頼者の方が別居することを選択されたため、そのタイミングでご主人に内容証明郵便を送付しました。

すぐに連絡があり、依頼者の方とお子様のことを心配してくれ、自身でも態度に反省を述べ、婚姻費用の金額もスムーズに決まるなど、交渉は進むかと思われました。

しかし、離婚を望むこちらと、復縁を望む相手の意思の違いが明らかになると、相手が代理人を付けての交渉することになりました。

そのこと自体は何も問題はないのですが、相手の選んだ代理人が過去数件相手となったことがあったのですが、そのいずれでも事件を放置して事案が進まない、期日間のやるべきことをやらずに空転させるなどを繰り返す弁護士でした。

相手の代理人が判明してすぐに依頼者の方には、
「この代理人は仕事をしないから調停、裁判を覚悟しないとならない。交渉をしても進まないので、すぐに調停を申し立てるべき。」
とアドバイスしたのですが、交渉の方が早く解決できることと弁護士費用がかかることを懸念され中々ご決断いただけませんでした。

やむを得ず交渉をしましたが、案の定放置気味で、何度も催促をして受任後数か月を経過してようやく方針を回答してくる有様でした。

ただ、その内容には大きな開きがないため、交渉を継続することとし、とりあえず双方財産分与すべき財産を開示することになりました。
こちらの準備は数週間で終わり、その旨を相手方代理人に連絡しましたが何の反応もありません。

何度も催促して、半年以上たってようやく出てきたものは素人が作成したような代物でした。

この間、何度も調停をしないとどうにもならないと依頼者の方にはお伝えしたのですが、やはりご決断はいただけませんでした。
相手方代理人に強いクレームを入れて、ようやく一応の水準となっている財産が開示されるまで１年以上要しました。

先にも述べた通り、条件自体の差は少なかったため、開示された財産を前提に交渉していきました。多少の論点は残ったものの、概ね合意できそうな感触でした。

そのまま話を進めようとしたところ、案の定放置が始まり、寝ても覚めても返事がありません。
最終段階ですら、このような状況となり、さすがに依頼者の方も決断され、調停を申し立てることになりました。

同時にこちらで資料とともに、調停条項案を作成し、この内容で合意できるか期日まで回答をし、合意できないなら期日までに回答してほしい旨を、従前の交渉経緯の抗議とともに送りました。

いくつか詰める問題はありましたが、何とか第１回調停期日までに合意でき、無事に調停で離婚が成立できました。

やはり、ここまで時間のかかる事案ではなく、相手代理人の放置癖のせいでここまでの時間を要してしまいました。
常識的で、話し合いが出来る代理人であれば、１年程度時間は短縮できました。
残念ながらこのような代理人も世の中には存在しています。
弁護士業界では、離婚は参入障壁は低いが、継続するのは難しいと言われています。

離婚について専門的な知識を持った離婚弁護士であることは当然ですが、仕事をする気のない代理人を選ばないようにすることが大切です。

何より、依頼者が一番の被害者となってしまい何のために弁護士に依頼するのかわからなくなってしまいます。