DVに関する離婚相談

DVで離婚する人に共通する特徴

DVを行なう人は、年齢、職業、学歴、年収などによる分類はなかなか難しいのですが、

男性が加害者のときは、男尊女卑傾向が強い人が多いです。

またDVを行う人は、性格に裏表があることが多いです。

DV加害者は、二面性を持っていることが多いということになります。外面は非常に良く、普通に仕事や近所付き合いもそつなくこなし、良い人という印象を与えますが、家庭内ではイライラしやすく家庭外で感じたストレスを暴力によって変えてストレス解消をしていきます。これは男女共通のようですね。

DV加害者の特徴としては急に優しくなるということもあります。
暴力をふるいストレスを発散させると急変してその行為を反省し相手に優しくなります。しかし、程なくしてまた暴力がはじまり、また優しくなるといったことが繰り返されてしまいます。

本当は気が弱い人が多い

DVをする方は、他人にはものすごくいい人に見えたりするため、周囲の人がまったく想像できない場合も多々あります。しかしこれは人からの評価を気にしている証拠なのです。

そのようにして気を使ってストレスを溜め、そのストレス解消のため家庭に暴力を持ち込んでいきます

DVは弱いものいじめの最たるものであり、自分より下に見ている人間にしか行いません。気の弱い人間が行う行動なのです。
外では自分の思う通りの言動ができないストレスを、彼女や妻に暴力という形でぶつけてしまい、DVをしてしまいます。

異常なやきもちを焼き、束縛が強い

昔の恋人の事や他の異性とのメールなどの存在を許せず、何かあると浮気、浮気と騒ぎ出して怒りだすなど、束縛が激しいのもDV加害者の特徴です。

DV加害者は、相手の携帯チェックに拘るのも特徴といえます。相手の全てを自分でコントロールしないと気が済まないのです。

 

交際当初などはとても優しい

DVを何度されても別れない女性がいます。「自分がいないと駄目な人」と勝手に母性本能を働かせて自ら不幸の中へ身を投じてしまうのです。

何度も心身を傷つけられてもそれを許してしまう。普段は暴力的でも、たまに見せる異常な優しさで自分に対する大きな愛情と感じてしまうのです。

 

DV即離婚に該当するケース

典型的なDVは、当然身体を痛めつけられる暴力です。しかし、DVは、それだけではなく身体的な暴力の他に、精神的・経済的な暴力もあります。

まず、身体的暴力ですが、身体への暴力行為は被害者の身体・生命を危険にさらしますし、そもそも犯罪行為ですので場合によっては逮捕・勾留されます。殴る・蹴るなどの暴行が典型例です。
最初は軽いことが多いですが、徐々に拳で殴る、腹部などを蹴るなどとエスカレートしていくことが多いです。酷くなると身体にあざができるまで暴力をふるわれたり、骨折などの重症を負うこともあります。

 

また、精神的暴力は、被害者を全否定する言動を継続して精神的苦痛を与え続けていきます

精神的暴力は様々な態様があります、すべてを列挙する事は出来ません。

例えば、些細な事で怒鳴ったり、暴言を吐く。相手やその友人、家族を罵倒、侮蔑、誹謗、中傷する。相手の人格を否定する言動を繰り返す。などです。
精神的暴力は、目に見える外傷などがなく周囲の人が気づきにくいのが特徴です。また、本人も自己否定され続けるので自分を責め、相手に精神的暴力を振るわれていると気づけないケースもあります。

 

そして、経済的暴力は、非常に深刻な場合もあります。経済的DVとは、家に生活費を入れない、生活費として使わなければならないお金をギャンブルなどで浪費することが該当します。
これは夫側がしっかり稼いでいる場合とそうではない場合、両方のケースがあります。経済的暴力があると、生活が成り立たないため精神的に大きなストレスを受けることになります。

 

DV配偶者との離婚方法と手順

まずはDV被害を受けている事を専門家に相談してください。

離婚には「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」があります。協議離婚は夫婦間の話し合いによる離婚のことをいいます。

DVがある場合、夫婦間での話し合いは逆上して強度の高い暴力が行われる危険性があります。まずは弁護士や行政機関等の専門家に相談して現状なすべき事を認識して下さい。

実際にはDVがある場合、弁護士が付いても協議ではなく、調停離婚か裁判離婚となるケースが非常に多いです。やはり代理人弁護士なしでは調停や裁判も危険となります。

 

DVを相談所へ駆け込む

DVには各種相談窓口がありますので、すぐに問い合わせて下さい。

各地域の相談所で自宅が危険と判断されるとDV被害者を守ってくれる住所非公開のシェルターを紹介してもらう事が出来そこに宿泊できます。
そこには様々な生活用品があり着の身着のままで行ったとしても安心です。

しかし、滞在できる期間は短期間となっているため、シェルターの相談員などと相談しながら、自立する計画を立てていきましょう。

 

DVの証拠を集める

離婚を成立させるには配偶者に離婚原因があることを証明する証拠が必要となります。

DV時の映像や音声があると一番良いのですが、撮影録音がばれると余計に逆上しますので細心の注意を払ってください。それ以外でも

・暴力行為や暴言を示す映像、録音、メール

・壊れた物品や怪我をした時の写真

・物品修理の見積書、傷病に係る医師の診断書

・家族や友人等の周囲の人間による証言

・日常的な被害を記録した日記・備忘録 など

といったものは証拠となり得ます。

また、相手が脅すようなことを言っているメールや、DV後の散乱した部屋の様子の写真も証拠となり得ます

 

第三者を間に立てて話し合う

DV配偶者と離婚する場合、素直に話し合いをする必要はありません。

相手に直接離婚を求めるなどDVを引き起こすおそれがあり非常に怖いことです。

伝えたところで逆上して想像以上に危険な行為に出るおそれもあります。まずは自分の身を守ることを優先し、DV配偶者を相手にする時は弁護士を代理人として選任しましょう。

家族や友人でも良いのですが、この場合に必要なのは法律的な根拠に基づいた主張であり、DV夫が気後れする弁護士がおすすめです。

無料法律相談を行っている弁護士事務所なら費用もかからずに相談ができますので、専業主婦の方でも、安心して相談することができます。

 

警察に相談して出動態勢を整えてもらう

DV被害を受けたら、傷やあざなどの比較的軽いケガだけでなく、骨折などの命に関わる大怪我を負う場合もあります。その場合は、刑事の傷害事件として立件できるので、すぐに警察に行き連絡しましょう。

警察なんてと迷う方いらっしゃいますが、そのために警察は存在するのです。まずは、警察の窓口に相談してみましょう。

その際すでに弁護士を雇っているのであれば警察に同行してくれることもありますので、弁護士を付けているならまず弁護士に相談してください。

 

DVから素早く逃げるために

DV被害に悩んだら内閣府の『DV相談ナビ』に連絡して、いつでも地域のシェルターに滞在できるように手続きをしてもらいましょう。

DVから逃げることは思っているよりも簡単ではありません。

DV被害者の方は、加害者からの日常的暴力により精神的に追い込まれ正常な判断が出来ないケースもあります。例えば、逃げたら報復されるという恐怖感や、私が悪いからどこへ行っても仕方ないという無力感や、本当の彼は優しいという期待感などが理由で、自分で閉じこもってしまうのです。

しかし、命より大切なものはありませんし、もし子どもがいらっしゃるなら子どもの安全、健全な育成が最優先事項です。DV環境で育てられた子供は、DVをしたりされたりするという統計も出ています。

負の連鎖を断ち切らないと自分どころか子供の人生すら不幸になってしまいます。自分や子どもの人生を守る決断をしてください。

 

DVの慰謝料の相場

DVの慰謝料金額は、50〜300万円といわれています。

そして、慰謝料の請求が可能なのは配偶者の言動によってあなたや子供が肉体的・精神的な苦痛を受けた場合です。身体的暴力のDVだけでなく、モラハラであっても立証の難易度は増しますがその程度によっては慰謝料請求が可能です。

 

しかし、慰謝料の金額は法定されておらず、交渉であれば当事者間の話し合いによって自由に決めることができます。

 

極端な例では、加害者が有名人や大企業の社長など社会的地位が高い人であれば何千万円から1億円以上払ってもらうことも可能なのです。

 

DVで離婚する際に気をつけておきたいポイント

離婚した後の生活費を心配される方は多いのですが、お子様の養育費は請求できますが、残念ながら離婚後の自分自身の生活費は請求できません。

離婚すれば赤の他人となることによります。

ただ、養育費についても、DVをする人間は何事にも執着心が強いため、金銭的感覚もずれている、はっきり言えばケチなことが多いのです。

配偶者が公務員や上場会社などであれば給与の差し押さえで支払を強制できますが、日当をもらう職業や転職を繰り返している人などは差し押さえられたら転職して養育費を支払わない人も存在します。

裁判では、当事者が客観的な証拠を提出していくことで、裁判所が慰謝料の金額を決めます。

『慰謝料の額は相場で50~300万円』ですが、DVの程度・期間によるため、苛烈なDVを長期間受けているとそれだけ慰謝料が高額になることが多いです。

DV離婚はお金よりも命の方が大事だとして早くに離婚を成立させることが多いです。

ここで気をつけたいのは、清算条項などすべての権利がないことを確認するなどの文言を入れた公正証書を作成してしまうと後から慰謝料、財産分与の請求が出来なくなるので、注意してください。

 

離婚時に子供と一緒に逃げるとき

子供をつれて配偶者のDVから逃れるために家を出る場合に注意することとしては、子供の学校があります。

DVの避難はいつまで続くか見通しが立たないことが多いです。

離婚を固く決心しているのであれば、生活の基盤を作るため住民票を移して転居するのも方法です。

住民票を移しても通える範囲なら学校もそのまま通学することも認める傾向にあります。

 

しかし、DV配偶者は執着心が強いため、あなたの居場所を突き止めるため学校で子供を待ち伏せることも十分あり得ます。可能であれば転校してしまう方が安全です。

DVの光景を目の当たりにした子供は心に大きな傷を負い、暴力の世代間連鎖という、将来DVの被害者や加害者になってしまう事例も報告されています。

そのため、子供の心のケアが何より重要となっています。

 

DV被害は身近な人でも見つけづらい

加害者のDVをやめさせる対策としては、精神科の受診等の専門家の助力が必要ですが、実際問題受診してもらうことは困難ですし、受診したところで完治する可能性はとても低いのです。

 

殆どの夫婦は、暴力とは無縁の生活を送っています。暴力を振るう人間が悪であり、治すことは極めて困難な生来的な性分と言えます。

 

残念ながら有効な方法はDV配偶者と1日でも早く別居して、1日でも早く離婚すること以外ありません。
結局は、既にDVが発生してしまっている場合には、弁護士や公共機関を活用して離婚を目指していくことが重要です。

 

まとめ

以上述べてきたとおり、DVには様々な種類があり、それらが複雑に組み合わさっている場合もあります

DVがあるのであれば、まずは相談機関に相談しましょう。

とにかく暴力をふるわれる環境から1日も早く離れ、暴力のない環境で今後の人生をどうするか考えてみてはいかがでしょうか。

その際、1人で悩まずにまずは弁護士・行政機関を頼ることからはじめてみてはどうでしょうか。

 

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執筆者
島武広 
島法律事務所 
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)

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