共同親権とは

共同親権とは、離婚後も引き続き両親が子供の親権を持つことをいいます。

親権は、①身上監護権と②財産管理権の2つに大きく分けられます。

 

①身上監護権

子供の監督・保護・養育に関するものとなります。

 具体的には、居住指定権、職業許可権、身分上の行為の代理権があります。    

 

②財産管理権

子供の財産を管理することをいいます。

 

現在の日本の法律では、離婚後は父母のどちらかを親権者と定めなければならかなかったのですが、2024年5月に法律が改正され、離婚後は単独親権か共同親権かを父母の協議によって選択できるようになります。

 

1 共同親権導入の背景

離婚後に共同親権が導入される理由は下記のものがあります。

 

養育費の未払いを防止する

月1回程度面会交流するだけでは家族と実感することが出来ず、養育費を滞納する人がいるといわれています。

共同親権を導入することで、離れて暮らす親も子育ての責任を実感しやすいことから、養育費の不払いを防ぐ狙いがあります。

 

面会交流を確実に実行する

共同親権になれば、別居親にも子供の養育責任があることが明確になるため、面会交流の実施が促進されると期待されています。

 

子供の連れ去り問題を防ぐ

子供の親権を獲得したい思いから、子供を連れて別居してしまう問題が多く発生しています。

共同親権とすることで、こうした子の連れ去り問題を防ぐ狙いがあるそうです。

 

2 共同親権の導入時期

共同親権は、2026年度中に導入される予定となっています。

離婚時に父母の協議により単独親権か共同親権を選択できるようになります。

離婚をするからといって当然に共同親権になるわけではありません。

 

 

また、すでに離婚している場合、共同親権導入により、当然に単独親権から共同親権に変わることはありません。

すでに離婚し共同親権に変更したい場合、家庭裁判所に対して親権者変更の調停・審判の申立てを行うことになります。

 

3 共同親権を導入するメリット

共同親権には以下のようなメリットが考えられます。

 

離婚時の親権争いを回避できる

離婚後も共同親権を選択できるようになることで、親権争いを避けることができる場合もあります。

父母双方が親権者になりたいと主張していれば、話し合いが進まず離婚できないだけでなく、調停や裁判に発展する可能性もあります。

しかし、共同親権であれば父母双方が親権を持てるため、親権の争いを避けることができ、離婚成立までスムーズに進める可能性が高まります。

 

両親ともに子育てに関われる

離婚後も共同親権とすることで、子育てに関わることができ、子供のことを考えて行動してくれることを期待できます。

離婚後も父母双方が話し合って子供のことを考えていくことができ、協力して子育てができると可能性もあります。

 

養育費の不払いを防ぐ

共同親権となることで、養育費の不払いを防ぐことが期待できます。

従前と変わらない子どもとの関りを期待できるため、養育費の支払いに前向きになれる親が増える可能性があります。

 

面会交流が実施されやすい

現在の単独親権制度では、親権者が非親権者と子供を会わせないなど、親子の交流が途絶えるケースも多く、問題視されてきました。

共同親権になれば、面会交流に責任を持って臨んでもらえる可能性が高まります。

 

4 共同親権の問題点

共同親権制に反対意見も多くあります。

 

DVやモラハラのおそれ

共同親権だと、父母双方が親権を持っていますので、離婚後も元配偶者と連絡を取り合わなければなりません。そのため、DVやモラハラの被害が継続してしまうおそれがあります。

 

ただ、改正案では、一方の親や子供がDVやモラハラの被害を受けており、共同親権とすると子供の利益を害すると裁判所が認めるケースでは、「単独親権」としなければならないとされています。

実際の運用がどうなるかはまだわからないため、このようなおそれをわざわざ取る必要があるのかとの意見が強くあります。

 

子供の負担が増える

片方の親が遠方に住んでいるケースなどでは、面会交流に長時間の移動を頻繁に行うなど、子供の負担が増える可能性もあります。

父母の意見に相違が生まれると子供が板挟みになってしまい、精神的負担が大きくなってしまうことも考えられます。

 

教育方針などの決定に時間がかかる

共同親権では父母双方が親権者であるため、お互いに話し合って決めていかなければなりません。

そのため、教育方針など意見が食い違ってしまう場合は、スムーズに話が進まず、子供に不利益が生じることも考えられます。

 

ただし、共同親権であっても、日常の食事や習い事の選択、緊急の手術など、父か母が単独で判断できるケースもあります。

 

5 共同親権にするためには

共同親権を取得するには以下のポイントを覚えておきましょう。

  • 子供を虐待しない
  • DV・モラハラをしない

当たり前の話ではありますが抑えておきましょう。

 

6 共同親権が取れない場合

共同親権とするのが難しい場合には、以下の対処法を検討します。

 

 

以上、共同親権について説明してきました。

今後も運用などを随時お伝えしていく予定です。

とりあえず以上のことを頭に入れておきましょう。

執筆者
島武広 
島法律事務所 
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)

当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>

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