不貞行為の回数で慰謝料の金額は変わるか

慰謝料は、精神的苦痛に対して支払われるものであり、苦痛の度合いが大きければ大きいほど金額が上がるのは当然です。

そう考えれば、回数が増えれば慰謝料も上がるといえます。

以下詳しく説明していきます。

１　不貞行為の回数によって慰謝料相場は変わる

一般的には、不貞行為の回数が多ければ多いほど精神的苦痛は大きくなるといえますから、慰謝料金額は増額方向に考慮されるといえます。

そして、不貞行為が３回以上となる場合、関係性自体も継続的に維持されていると判断される可能性も高まります。

慰謝料金額は、不貞行為の回数を含め諸事情により変動しますが、５０～３００万円の幅となることが多いようです。

２　不貞行為の慰謝料に影響を与える要素

不貞行為の慰謝料金額は、このほかにも様々な考慮要素が影響します。

以下説明していきます。

離婚の有無

不貞行為が原因で夫婦が離婚したり、別居したりした場合、不貞行為が夫婦関係の破綻を引き起こしたことになるので、その分慰謝料金額は増額される傾向にあります。

ただ、元々の離婚原因によってすでに婚姻関係が破綻していると判断されると、不貞行為が離婚の原因となったとは認められず、慰謝料が減額される可能性があります。

そうは簡単に認められず、「すでに夫婦関係が悪化していると聞いていた」くらいでダメなのは当然です。

夫婦の婚姻期間・態様

婚姻期間が長い、あるいはいたって円満であったという場合には、配偶者側の受ける精神的苦痛も増大することになるため、慰謝料が増額される可能性があります。

他方、不貞行為の前から夫婦関係が悪かった場合や、婚姻期間が短期間にとどまる場合には、不貞行為によって生じる損害は、夫婦関係が良好な場合と比較して、相対的に小さくなるといえます。

婚姻期間については、判例の傾向として、概ね３年以下の場合には、慰謝料金額の減額要素として考慮されるようです。

不貞行為の期間

不貞行為の期間や回数は、不貞行為そのものの悪質性を示す指標といえます。

期間についても、一般的には長期であればあるほど慰謝料金額は高額に、短期である場合には低額になる傾向があるといえるでしょう。

不貞期間が数カ月程度、概ね半年以内である場合には、短期間であると評価されるケースが多いようです。

他方で、不貞期間が十数年間にのぼる等、年単位であると認定された場合には、長期間の不貞行為と認定されやすく、慰謝料金額が増額される場合が多いです。

未成熟子の存否

夫婦間に未成熟子がいるか否かを重要な考慮要素となります。

不貞行為を理由として別居や離婚をすることとなった場合、不貞をされた側の配偶者が今後その未成熟子を育てていかなければならなくなる可能性が非常に高くなるため、それだけ精神的苦痛も大きいとして、慰謝料額が増額される傾向にあるようです。

反省の有無

不貞行為について反省しているかどうかも、慰謝料金額において考慮要素とされることが多いです。

不貞行為者が謝罪をしていない場合や、不貞関係自体を否認したり、不合理な弁解に終始していたりするような場合には、反省の態度が見られないとして、慰謝料が増額される傾向にあります。

以上、不貞行為の回数で慰謝料の金額が変わるかについて説明してきました。

説明した通り回数が多ければ慰謝料は高くなりますが、実際は交渉能力や証拠の有無や主張のタイミングなどにより大きく変動します。

本当は２００万円請求できる事案でも、うまく交渉が出来ずに５０万円しかもらえないなどもあるのが不貞行為の慰謝料請求です。まずは専門家である弁護士に相談しましょう。

是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。

ご自身の事案において、適切な金額の慰謝料を得られるようにアドバイスをさせていただきます。