年金分割のための情報通知書について
年金分割をするために原則的に必要となる年金分割のための情報通知書についてここでは説明していきます。
1 年金分割のための情報通知書とは
年金分割を行う際の年金に関する情報が記載されているのが、年金分割のための情報通知書です。
情報通知書では、標準報酬額(標準報酬月額と標準賞与額の合算)が多い方(年金分割をする側)を第1号改定者、標準報酬額が少ない方を第2号改定者と表示し、それぞれの氏名や生年月日、基礎年金番号が記載されています。
また、婚姻期間や対象期間標準報酬総額、対象期間なども記載されており、これらが、離婚した場合の将来の年金額を計算するための基礎的な情報となります。
要するに、年金分割をするために必要な情報がまとまった書面といえます。
2 情報通知書を取得するには?
情報通知書を取得するためには、年金事務所等の窓口で情報通知書の請求手続きを行う必要があります。
一昔前であれば直接年金事務所に押しかけて予約を取れた場合もありましたが、現在は事前に電話で予約を取るように言われてしまいます。
請求手続に必要な書類は以下の通りです。
・年金分割のための情報提供請求書
・請求者本人の国民年金手帳、年金手帳または基礎年金番号通知書
・婚姻期間を確認できる書類(戸籍謄本など)
・事実婚関係にある期間に係る情報提供を請求する場合は、世帯全員の住民票の写し等の事実婚関係を明らかにすることができる書類(「未届けの妻」と記載された住民票の写し等)
実際に請求される場合、必ず予約時に指示されますので、指示されたものをすべて持っていきましょう。
請求してから情報通知書が郵送されてくるまでの期間も組合によって異なっていますが、おおむね1週間から1か月程度です。公務員は一般的に時間がかかることが多いです。
3 年金分割のために情報通知書が不要な場合
少し前置きが長くなりますが情報通知書が不要な場合を理解してもらうには年金制度の基本知識が必要です。少しお付き合いください。
(1)日本の年金の仕組み
日本の年金制度は、3段階構造となっています。
1段階は、国民年金です。基礎年金とも呼ばれています。
2段階は、公務員や会社員など、いわゆるサラリーマンが加入する厚生年金です。
3段階は、個人または企業単位で任意に加入する私的年金です。
各企業で設定している企業年金や、一元化前の公務員の職域加算などが該当します。
(2)年金分割の対象
3段階構造の年金のうち、年金分割の対象は原則として2段階の厚生年金保険に限られます。
ただし、3段階のうち、一元化前の公務員の職域加算部分だけは年金分割の対象となります。
(3)年金分割の種類
年金分割には、①合意分割と②3号分割の2種類があります。
①合意分割
「合意分割」制度とは、夫婦当事者双方の合意または合意ができないときは裁判手続き(調停や審判、訴訟)によって、按分割合を定めて、婚姻期間中の厚生年金納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割することができる制度です。
合意分割の要件は、
・婚姻期間中の厚生年金保険の納付記録があること
・当事者双方の合意または裁判手続き(調停や審判、訴訟)によって按分割合を定めたこと
となります。
3号分割と異なって、平成20年4月1日より前の婚姻期間も対象に含まれます。また、分割按分の割合も、当然に2分の1ではなく、当事者の協議によって合意する必要があります。ただし、5割を超えることはできません。
といっても、割合は0.5要するに2分の1となり、離婚弁護士としてそれ以外の割合を見たことがありません。
②3号分割
3号分割とは、婚姻期間中に平成20年4月1日以後の国民年金第3号被保険者期間中の厚生年金記録がある場合に、配偶者である第2号被保険者が負担した厚生年金記録を自動的に2分の1に分割するものです。
国民年金の被保険者は、次の3つに分類されます。
・1号被保険者 日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者で、2号、3号のいずれにも該当しない人です。具体的には、20歳以上の学生、自営業者などが該当します。
・2号被保険者 厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員の方です。ただし、65歳以上の老齢基礎年金などを受ける権利を有している方は除きます。
・3号被保険者 2号被保険者の配偶者で主として2号被保険者の収入により生計を維持している者(2号被保険者に扶養されている配偶者)です。代表的には、会社員と結婚して専業主婦(主夫)をしている方は3号被保険者です。
3号分割の申請ができるのは、平成20年4月1日以後に3号被保険者であった期間のある方に限られています。
請求者の現住所を管轄する年金事務所に対して分割改定請求を行うと、平成20年4月1日以後の第三号被保険者期間の厚生年金記録が自動的に2分の1に分割されます。
(4)3号分割では情報通知書は不要
ようやく結論です。
3号分割を請求する場合には、情報通知書は不要です。
ただし、年金事務所の窓口で分割請求の手続きを行うことは必要です。
また、離婚成立の翌日から2年という期限があります。
できるだけ早く手続きを進めることが大切です。
以上年金分割のための情報通知書について述べてきました。
実際の手続は、離婚と併せて行います。
弁護士に離婚事件を委任しているならしっかりと年金分割をしてくれますのでご安心ください。
ご自身で離婚される方は、以上のことを念頭に置いて手続を進めてください。
年金分割は老後の生活を支える極めて重要な事項です。
失敗することのないように注意してください。
何か不安などありましたら是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
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島法律事務所
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
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