専業主婦の離婚について
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専業主婦の離婚について
一昔前は殆どの家庭が専業主婦の皆さんの内助の功を得て、ご主人が外で仕事に専念するという状況でした。
共働き世帯が増えてきた昨今でも、専業主婦の方は一定数いらっしゃいます。
そんな専業主婦の皆さんの離婚についてここでは説明していきます。
専業主婦の方の離婚準備
・離婚事由
まずは、離婚したい理由をしっかりと検討しましょう。
法定離婚事由である不貞行為、悪意の遺棄、3年以上の生死不明、回復見込みのない強度の精神病のいずれかがあるのであれば問題ありませんが、そうではないなら別居か相手の同意が必要となります。
法定離婚事由があるのかどうか、あるとして争われたときに立証できるのかを検討してください。それによって、離婚までのタイムスケジュールが変わってきます。
・慰謝料を請求する場合
不貞行為であれば配偶者と不倫相手が肉体関係を持ったことを示す探偵資料やメール
DV・モラハラであれば、診断書、写真、録音や録画、詳細に記した日記などを集めましょう。
・財産把握
夫婦が離婚をするときには、財産分与(婚姻期間中に2人が築いた財産を公平に分け合うこと)をすることになります。
財産分与の対象は、土地や建物といった不動産、結婚生活でためた貯金など、婚姻中に夫婦で築いた共有財産です。
・子どものこと
具体的には親権・面会交流について考えることになります。
夫婦の話し合いで決まらなかった場合は、裁判所の調停や離婚訴訟で親権者を決めることになります。
調停や訴訟では、これまで主に監護養育を担ってきた者が親権者とされる可能性が高いです。その他にも、現在の監護の態勢、育児を支援してくれる親族の有無、父母の就労状況等を総合的に判断し、親権者が決められます。
専業主婦の場合でも、離婚後は養育費の支払が見込まれるため、収入がないからと言ってそれだけで親権者の判断で不利になることはありません。生活保護を受給する場合でも親権は認められることがあり、裁判所は経済状況と親権は切り離していると考えられます。
面会交流とは、離婚後に子どもと非監護親が面会することをいいます。
子どもへの虐待がある等例外的な場合を除き、継続的な面会交流は、子どもの成長にとって重要です。
特に、裁判所は面会交流を重視しているので、親権を得たいときは積極的に面会交流を実施したほうが賢明です。
・離婚後の住居
離婚後の住居についても検討しておきましょう。
実家に戻れるのあれば、それが一番賢明といえます。
当面の生活の基盤を確保した上で、以後の収入が確保できてから新しい住まいに引っ越す方が精神的にも負担は少ないと言えます。
・生活費の計算
離婚後の生活をイメージしておくことが大切です。
専業主婦の離婚準備として、離婚後の生活のために、資金の準備や収入源の確認をしておきましょう。
財産分与や慰謝料、子どもが幼い場合は養育費など、金銭面での離婚条件について、しっかりと取り決めておくようにしましょう。
公的支援を調べることも有効です。
離婚したら受けられる公的支援としては下記のようなものがあります。
児童手当
児童扶養手当(母子手当)
児童育成手当
特別児童扶養手当
障害児福祉手当
就学援助
母子父子寡婦福祉資金貸付金
生活福祉資金貸付制度
女性福祉資金貸付制度
ひとり親家庭の医療費助成
生活保護
養育費に関する公正証書等作成支援 など
専業主婦の離婚で請求できるお金
・財産分与
専業主婦の方でも財産分与を受けられるということを忘れてはいけません。
実務では、財産分与の割合は原則として2分の1としています(2分の1ルール)。たとえ専業主婦であったとしても2分の1の割合で財産分与を受けることができます。
ただし、配偶者が特別な能力や資格によって多額の収入を得ている(夫が医師や経営者、スポーツ選手である)場合、2分の1ルールが適用されず、専業主婦の財産分与の割合が小さくなることがあります。
といっても数億円などの収入が必要となりますので、通常はあり得ないといえます。
また、財産分与は、離婚の時から2年経過すると請求できなくなります。
・慰謝料
専業主婦の方が離婚する場合、配偶者側に離婚原因があるときは、離婚慰謝料をきちんと請求するようにしましょう。
慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償を意味します。
離婚の場合、離婚原因を作った側に慰謝料の支払義務があります。手の不貞行為やDVが最たるものであり、殆どのケースがこの2つを原因として請求します。
なお、離婚成立後3年経つと、慰謝料請求権は時効で消滅するので注意しましょう。
・養育費
専業主婦の方が離婚し、子どもを引き取るという場合は養育費を請求できます。
実務では、養育費の金額は自分と配偶者の収入や子供の数をもとに、「改定標準算定表」に従って決められます。
専業主婦で子どもが幼く働くことができない場合は、収入は0円として算定されます。
ただし、子どもが大きくなった場合は、たとえ専業主婦であっても、働いていれば得られるであろう収入をもとに養育費を算定します。
・年金分割
年金分割も忘れずに請求しましょう。
年金分割とは、離婚した場合、婚姻期間中に納付した厚生年金の保険料の納付記録を分割する制度です。
簡単に言うと、夫婦で婚姻期間中に納めた年金保険料を合算して、それぞれが2分の1ずつ支払ったことにするという制度です。
年金分割については、合意分割と3号分割の2種類があります。
3号分割は、夫の合意がなくても、請求手続きをおこなえば、分割できるという制度です。
2008年4月1日以降に、夫婦の一方が第3号被保険者であった婚姻期間について、請求をすれば、夫の合意を得なくても自動的に、2分の1の按分割合で年金分割がなされます。
なお、合意分割も3号分割も、離婚時から2年以内に年金事務所を通じた年金分割の請求手続きが必要です。
合意分割と3号分割については、併用することが可能です。たとえば、2000年4月から2024年3月まで婚姻していた場合は、2008年4月から2024年3月までの間は、3号分割の期間となります。2000年4月から2008年3月30日までの間は、合意分割の期間となりますので、上限2分の1で厚生年金を分割することになります。
・婚姻費用
離婚したいと考えている専業主婦の方は、別居するとき、夫に婚姻費用を請求するのを忘れないようにしましょう。
婚姻費用とは、別居期間中の、別居期間中の生活費のことをいいます。
婚姻費用の金額は、養育費の場合と同様に、「改定標準算定表」に従って決められます。
婚姻費用の支払義務は、支払い請求したときから生じるのが原則です。
婚姻費用の請求方法としては、メールや内容証明郵便等などの方法があり、これらは請求をした証拠となります。
相手が婚姻費用の支払に応じない場合、家庭裁判所の調停や審判で決めることになります。
離婚の手続
・協議離婚
協議離婚のおおまかな流れ
離婚届を準備する
離婚届への記入
提出書類の準備
離婚届の提出
となります。
離婚協議書などについては、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成して、公正証書の形に残しておくことを強くおすすめします。
強制執行認諾文言付き公正証書があれば、相手方の不払いがあったときに、強制執行(給料や口座の差し押さえなど)が可能です。
離婚が合意できない場合は裁判所を利用する
当事者間で離婚が合意できない場合、離婚調停や離婚訴訟を利用することになります。
・調停離婚
離婚調停は、裁判官と2名以上の調停委員からなる調停委員会が関与して、離婚に向けた当事者の合意を目指す手続きです。
離婚調停は、当事者のみでも対応可能ですが、親権や養育費を決めるに当たっては、法的な専門知識が不可欠です。
したがって、離婚調停は、弁護士が関与した方が、有利な離婚条件で離婚できる可能性が高まります。
・離婚訴訟
離婚調停が不成立の場合に提起することになります。
訴訟では、準備書面や証拠の提出が必要になるため、ご自分で対応するのは困難です。
相手方が離婚に応じないと見込まれる場合は、ぜひ早期の段階から弁護士に相談し、離婚訴訟を見越した準備をしておくことをおすすめします。
離婚後の生活費
離婚後の生活費を相手に支払うよう、法的に強制することはできません。ただし、双方の同意があれば、扶養的財産分与といった形で生活費を受け取ることは可能です。
扶養的財産分与とは、離婚後に生活が困窮する配偶者を扶養する目的の財産分与です。
しかし、認められるのは、極めて例外的な場合であり、その支払いがあることを前提にするのはやめましょう。
そうなると、余程年金が高額などの事情がない限り、離婚後には働く必要が出てきます。
以上、専業主婦の離婚について説明してきました。
長年、専業主婦として家庭を支えてきたことが無駄にならないように、当面の生活に困らないようにしっかりとした離婚条件で離婚することが肝要です。
まずは専門家である弁護士に相談しましょう。
是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
離婚事件を多数扱ってきた離婚弁護士だからできるアドバイスがあります。
島法律事務所
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>
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