専業主婦の方がやっておくべき離婚準備
・ もくじ ・
専業主婦の方が離婚を決意した場合、離婚を切り出す前にどのようなことをすればよいでしょうか。
ここでは、そんな専業主婦の方がすべき離婚準備について説明していきます。
準備しておくべきこと
離婚理由を明らかにしておく
相手が離婚に応じてくれればどのような理由でもよいのですが、応じてくれない場合は離婚事由が必要になります。
離婚事由は民法770条1項に規定されており
不貞行為
悪意の遺棄
3年以上の生死不明
強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと
その他婚姻を継続し難い重大な事由があること
のいずれかが必要です。
浮気やDVという明確な離婚事由がない場合、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として別居が必要になることがあります。
そのあたりは、可能であればご自身の考えている離婚事由が、裁判所で認められるかどうかを弁護士に相談して確認することをお勧めします。
別居ないし離婚後の生活の目途を立てる
別居後は婚姻費用を請求できますが、離婚後はお子様がいらっしゃれば養育費はもらえますが、お子様がいないか、既に独立している場合は、ご自身の収入のみで生活していく必要があります。
住むところ、生活費など離婚や別居後の生活をシュミレーションしておきましょう。
相談にいらっしゃる方の中に、ひどいご主人で離婚したいのも当然と感じる方がいらっしゃるのですが、実家は頼れない、仕事も探していないなどで、今動くのは厳しいのでは?とアドバイスして肩を落とされて帰る方がいらっしゃいます。
専業主婦の方が離婚する場合、生活の算段を立ててから離婚を切り出すのは必須といえます。
離婚条件を見積もっておく
離婚でお金が生じる項目は決まっており、ある程度目途が立ちます。
以下、項目毎に説明していきます。
財産分与
婚姻後に形成した財産は、基本的に、財産分与として2分の1ずつで分割し、分け合うことになります。
ただ、独身のときに得た株や不動産、貯蓄や夫が親族から相続した資産などは特有財産と呼ばれ、財産分与の対象とはならない点には注意が必要です。
婚姻費用
離婚前に別居した際も、離婚が成立するまでに生活費を受け取ることができます。婚姻費用についても忘れずに請求しましょう。
具体的な金額は、裁判所の算定表を用いることがほとんどですので金額の目途は立てやすいです。
慰謝料
夫が不倫やDVをしていた場合、慰謝料の請求ができる可能性があります。
証拠がどのようなものかが非常に重要です。
手持ちの証拠で慰謝料がいくらもらえるか弁護士に確認しましょう。
「不倫の証拠がある」
とおっしゃっている方の相談で、バイアグラの画像やキャバクラ嬢との挨拶メールということがよくあります。
肉体関係があることを示す証拠が必要です。
年金分割
年金分割は、厚生年金に加入している場合、婚姻期間中に納めた年金保険料は、夫婦で半分ずつ納めたこととなる制度です。
専業主婦の方の場合、将来支払われる年金額は大幅に増えることが多いです。
離婚交渉に必要な書類
当たり前すぎる話ですが、協議離婚であれば離婚届、調停であれば調停調書、訴訟であれば判決か和解調書が必要になります。
調停か裁判の場合は、何かしらの書面が残り、その書面が強制執行を可能にする債務名義となります。
協議離婚の場合、強制執行をできる状態にしておきたいのであれば、公正証書を作成しましょう。特に、小さいお子様がいる場合には、養育費の支払いを確実にするため、公正証書を作成するのが通常です。
また、年金分割についても、公正証書を作成しておいた方が楽に手続できることになります。
確実に離婚するために
以上の準備が整ったら、離婚に向けて実際に行動していくことになります。
ここでは、確実に離婚するための手順等について説明したいと思います。
離婚協議
話し合いですので、当人同士が良いならば、どのような条件でも離婚可能です。
裁判所では認められないであろう条件を希望する方には、とりあえず協議でやってみましょうとして交渉を開始します。
当然、離婚弁護士なので、裁判所に行った際、相手に弁護士がつくとこのような条件にはならないですよ。と伝えた上で交渉します。
当事者間の話合いにおいては、本人同士で行うと感情的になることが多いので、その点は注意してください。冷静に話すことが重要です。
また、夫がモラハラをする場合は、当人同士の話し合いは一方的な条件を押し付けられるだけなので無意味です。
弁護士に依頼するか、調停を申し立てましょう。
いつでも交渉できる点で、調停や訴訟より早期解決が可能な場合もあります。
逆に、強制する手段がないので、いつまでも何も決まらないことがあり得ます。
期限を区切って交渉が進まないなら調停に移行することを考えましょう。
離婚する際は、離婚協議書を作成するようにしましょう。
養育費など一定期間金銭を支払ってもらう場合、年金分割をする場合は公正証書を作成すべきです。
調停
相手が話し合いを拒否する場合や、いつまでたっても話し合いが平行線で事態が進展しない場合は、いきなり裁判を起こすわけではなく、まずは調停手続を行うことになります。
調停は、調停員という中立な第三者を間に入れての話し合いをします。
そうはいっても純然たる話し合いの場所ではなく、裁判所でのルールが当然のように適用されていきます。
例えば、養育費や婚姻費用は当然のように算定表を基に定められていきます。
算定表を離れる主張をしても、余程強い根拠(審判例など)がない限り、相手にされないことが多いです。
また、年金分割はしたくない、財産分与はしないなどの主張すれば、撤回しないなら訴訟になると言われることが殆どです。
裁判の前段階という性質がある手続です。
調停に移行した後は、何でもかんでも自分の考えを通したいなどということは調停不成立を招きます。
また、調停員は、弁護士がいない場合、高圧的になることがあります。
そのことを苦にして当事務所へ依頼する方も多くいらっしゃいます。
調停員の対応に疑問を感じたら弁護士に相談しましょう。
訴訟
訴訟に移行すると完全に書面主義となります。
書面は、要件事実に即して書かれていないと意味のない書面になってしまいます。
残念ながら現行制度では、弁護士なしに訴訟は厳しくなっています。
弁護士を付ける気がないなら、調停を成立させるようにしましょう。
訴訟では、特異な主張をしても、裁判官は相手にしてくれず、撤回を求められます。
そのあたりのさじ加減も弁護士にしからわからないことがあります。
訴訟は時間をかけて双方の主張を整理し、整理が終わると裁判官から和解の提案があります。
ある程度の心証を固めてからの提案であり、判決をある程度意識したと内容となっており、受け入れるかどうかを真剣に検討することとなります。
双方の主張の中で判決では採用できないが、こだわっている事項などを考慮してくれていることも多く、双方に対して歩み寄る内容となっていることが多いです。
この和解案を拒否すると、当事者の尋問を行うこととなります。
尋問後にも和解の機会を設けられますが、より判決に近い内容となることが殆どです。
この和解案も拒むと判決となります。
訴訟においては、証拠に基づいて要件事実を立証していくことに尽きます。
弁護士なしでは難しいため、遅くとも訴訟が決まった段階で弁護士に依頼しましょう。
以上、専業主婦の方が離婚する際にしておくべき準備について説明してきました。
実際にはそれぞれの事案でやるべきこととやってはいけないことが違ってきます。
よりよい結果を得られるように、まずは専門家である弁護士に相談しましょう。
是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。
離婚弁護士ならではの有益かつ具体的なアドバイスをさせていただきます。
島法律事務所
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)
当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。
初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>
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