慰謝料請求と離婚はどちらを先行させるべきか

配偶者の不倫が発覚したら、慰謝料請求と離婚を考えることになるのではないでしょうか。

そのような場合、2つの請求をどの段階でするかは非常に重要なのですが、相談にいらっしゃる方の中には、あまり順番を考えていない方がいらっしゃいます。

ここでは、後悔しないように慰謝料請求と離婚のタイミングについて説明していきます。

 

1 請求のタイミングは3パターンある

慰謝料請求と離婚のタイミング下記の3パターンがあります。

  • 離婚を先行させる
  • 慰謝料請求を先行させる
  • 同時に進める

以下ではそれぞれのパターンにおけるメリットとデメリットをみていきましょう。

 

離婚を先行させる場合

まずは離婚を先行させてから慰謝料請求を後で行うメリットです。

 

慰謝料が高額になりやすい

離婚を先行させると、不倫慰謝料が高額になる可能性が高まります。

不倫の慰謝料相場は、不貞行為によって、離婚に至った場合に高額になるからです。

 

負担が減少する

同時に行うと離婚条件の設定や慰謝料の金額の取り決めの両方に対応しなければなりません。

先に離婚をしてから慰謝料を後から請求する場合、1つ1つの問題に順番に取り組めるので負担が大きくなりにくいといえます。

 

逆に、離婚を先行させる場合のデメリットは下記の通りです。

離婚を先行させる場合のデメリット

 

時効で慰謝料請求できなくなる可能性がある

不倫相手と不倫の事実を知ってから3年間

不倫があってから20年間

で慰謝料請求権が時効にかかってしまいやすくなります。

離婚問題は、解決に1年や2年などの時間がかかることも多いため注意が必要です。

 

不倫相手の行方や勤務先などの情報を得にくくなる

不倫相手の生活状況が変わってしまう可能性があります。

相手の居場所がわからなければ、そもそも慰謝料請求が難しくなります。勤務先がわからなければいざというときの給料差し押さえの手続が煩雑になります。

 

配偶者が非協力的になる

不倫が発覚した当初配偶者は「申し訳ない」という気持ちから、不倫相手に対する慰謝料請求に協力してくれるケースが少なくありません。

離婚を先行させると、既に他人であり、離婚について相応の代償を支払っているでしょうから、協力する理由がなくなることが一般的です。

 

先に慰謝料請求する

次に先に慰謝料請求するメリットをみてみましょう。

 

離婚を迷っていても対応しやすい

離婚するかどうか迷っていても、とりあえず慰謝料請求するだけなら対応できます。迷っていても前に進めるのはメリットの1つといえます。

 

過度な負担がかかりにくい

手続きを1つ1つ進められるので請求者に負担がかかりにくくなります。

 

配偶者に協力してもらいやすい

配偶者が「離婚したくない」と考えている場合、全面的な協力を得られる可能性もあります。

 

離婚を避けられる可能性もある

慰謝料請求している間に配偶者との関係が修復され、離婚を避けられる可能性もあります。

 

慰謝料請求するデメリットは下記のとおりです。

慰謝料請求するデメリット

慰謝料が低額になる可能性がある

離婚が成立していないため、金額が低額になる可能性があります。不倫があっても夫婦関係が破綻しなかった場合、慰謝料の相場が下がるからです。

 

離婚トラブルに発展するケースがある

不倫相手に慰謝料請求されたことで配偶者が逆切れのような状況となり、離婚を求められたり家出されたりするケースもあります。

 

二度手間になる

先に慰謝料請求してから後に離婚手続きを行う場合、紛争を1回で解決できずに二度手間になるデメリットがあります。

 

離婚と慰謝料請求を同時に行う場合

離婚と慰謝料請求を同時に行うと、以下のようなメリットがあります。

 

慰謝料が高額になりやすい

離婚と慰謝料請求を同時に行う場合、客観的にも夫婦関係の破綻が明らかになりやすいものです。

不倫によって夫婦関係が破綻した因果関係を証明しやすいので、慰謝料が高額になりやすいのはメリットとなります。

 

トラブルを1回で解決できる

離婚と慰謝料問題を同時に解決すると、トラブルを後に残しません。

トラブルを1回で解決できるのは大きなメリットとなるでしょう。

 

離婚と慰謝料請求を同時に行うと、以下のようなデメリットもあります。

離婚と慰謝料請求を同時に行うデメリット

負担が大きくなる

離婚問題と慰謝料問題の両方を抱えると、請求者にかかる負担が大きくなります。

配偶者とも話し合わねばなりませんし、不倫相手とも交渉しなければならないからです。

 

配偶者が協力してくれない可能性がある

離婚と慰謝料請求を同時に行うと、配偶者と対立した状態で慰謝料請求を進める構図になってしまいます。そうなると、配偶者が不倫相手に対する慰謝料請求に協力することは期待しにくくなるでしょう。

 

2 離婚弁護士がおすすめする方法

離婚事件、慰謝料請求を多数扱っていて、請求のタイミングについても、ある程度決まったアドバイスをさせていただいています。

以下で、説明させていただきます。

 

・まずは離婚するのかどうかを考える

ここで、迷わず離婚を決断できるなら、③同時に請求の一択となります。

慰謝料の金額も高くなり、離婚も有利に話を進められ、ご自身がイニシアティブを握って交渉していくことが可能です。

 

逆に、離婚を迷っている場合、②慰謝料請求を先行させることになりますが、相手に配偶者がいるW不倫の場合、双方痛み分けとなってしまう可能性があります。

要するに、ご自身の浮気相手への慰謝料請求権と、浮気相手の配偶者からのご自身の配偶者への慰謝料請求権を相殺し、後は夫婦間でどうするかを決めるということになってしまうことが圧倒的です。

 

これを避けるには、明確な離婚意思を表しているか離婚を前提とする別居しているなど、夫婦の家計が別になっている必要があります。

やはり、離婚を前提にしないとならないのです。

 

ただ、迷わずに②慰謝料請求を先行させる場合もあります。

それは、依頼者の方が配偶者との再構築を最優先している場合です。

そういった場合には、慰謝料請求を先行させることで、相手との縁を切ることができ、示談書の内容次第では、再発の可能性を大きく下げることも可能です。

そういった場合には、慰謝料請求を先行させます。

 

ですので、相談にいらっしゃった方には、まず離婚意思があるかどうかを確認するようにしています。

今後このような事案で相談に行く場合、離婚意思を明確にしておくとよいでしょう。

 

残った①離婚を先行はあまり選択しません。

どうしてもどちらかだけというときで、両方やる余裕がない場合のみ「あり」といえます。

 

以上、慰謝料請求と離婚のどちらを先行させるべきかについて説明してきました。

割とわかりやすい基準があると思います。

ただ、この案件で一番大事なのは、弁護士に依頼することです。

特に、慰謝料請求については、当人同士では無視されることが多いと言えます。

まずは専門家である弁護士に相談しましょう。

その際、弁護士に依頼することを検討することが良い結果を得る、唯一にして最大の方法となります。

是非当事務所の初回無料相談をご利用ください。

離婚弁護士として多数の案件を扱ってきた経験とノウハウから適切なアドバイスをさせていただきます。

 

執筆者
島武広 
島法律事務所 
代表弁護士(神奈川県弁護士会所属)

当サイトでは、離婚問題にまつわるお悩みに対して、弁護士の視点で解説をしています。また、当事務所にて携わった事案のポイントも定期的に更新しています。地元横須賀で、「迅速な解決」を大切に代理人として事件の解決に向けて取り組んでいます。

初回相談は無料でお受けしておりますので、お悩みの方は、お一人で抱え込まず、ぜひ一度専門家にご相談ください。|弁護士紹介はこちらをクリック>>

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